その58 ページ11
《Aside》
伊達さん、ヒロの死に加え、佐藤さんとも喧嘩してしまった私の心はズタボロで、とても長野に帰れる状態ではなかった。
『そうだ、せっかく降谷さんから合鍵貰ったんだし、わんちゃんに会ってから帰るか。』
降谷さんから渡された住所を元に「MAISON MOKUBA」と書かれたアパートに着いた。ドアに鍵を差し込む前に少し考えた。
『(降谷さんはいつでも来ていいって言ってたけど、本当に入っていいのかな。それにわんちゃんだっていきなり知らない人が来たらびっくりするだろうし…)』
でも、わざわざ作って貰った合鍵を使わないのは降谷さんや風見さんに悪い。
ごめんなさいと思いながら鍵を差し込みドアを開けると、中から「アンッ」という犬の鳴き声が聞こえた。
『おじゃまします…』
靴を脱ぎ足を踏み入れると奥の部屋から一匹の犬がかけだして来て、私の足にまとわりついた。
『わんちゃんこんにちは。ごめんね、勝手に入って。』
アンッ
わんちゃんは応えるように鳴いて部屋に帰って行った。わんちゃんに続いて私も部屋に入る。
『ここが降谷さんの部屋…』
部屋は和室で布団と机しか置いていない。いや、端にギターも置いてある。ヒロと練習していたギターだ。
『わんちゃんかわいいなぁ。おいで。』
わんちゃんに目線を合わせて呼んでみる。初対面だし来てくれるわけないと思っていたが、わんちゃんは私の胸に飛び込んできた。白い毛はふわふわで、ほどよい体温が気持ちいい。
『ほんとにかわいい。確かに癒しになるなぁ。私、Aって言うの。わんちゃんのお名前は?』
零「ハロだ。」
『へぇーハロって言うんだ…ってええ!降谷さん⁉』
振り返ると私服姿の降谷さんがいた。わんちゃんが答えたものだと勘違いした私本当にバカだ。
『なんで、というかいつからここに⁉』
零「癒しになるなぁあたりから。」
『それなら、いるって言ってくださいよ!恥ずかしいじゃないですか、もう//』
零「Aの驚いた顔が見たくてな。顔真っ赤だぞ。」
『降谷さんのいじわる…』
零「(かわいい//)少しは元気出たみたいだな。風見からAが一課の誰かを殴ったって聞いたから、負い目を感じやすいAなら癒しを求めてここに来ると踏んだんだ。」
『さすが降谷さん。というか、なんで風見さんが知ってるんですか?あの現場には一課の人しかいなかったはず。』
零「警視庁内で広まってるみたいだぞ。」
きっと私か佐藤さんのファンクラブの人が広めたんだな。
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おひたし(プロフ) - 梨愛さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけて私としても嬉しいです。さざ波はもう少し人が集まるまで待ちますね。 (2019年5月20日 8時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
梨愛(プロフ) - 初コメです。警察学校組も長野県警も好きなので更新楽しみにしてます。さざなみ編の話も読みたいですね。更新頑張ってください。 (2019年5月18日 17時) (レス) id: ca993b538c (このIDを非表示/違反報告)
おひたし(プロフ) - ayuさん» いつも応援ありがとうございます!最近忙しくて更新が停滞してしまって申し訳ないです… (2019年5月17日 12時) (レス) id: c5b0a8f944 (このIDを非表示/違反報告)
ayu - コメント失礼します!更新楽しみにしてます。頑張って下さい!応援してます。 (2019年5月16日 7時) (レス) id: e1359604fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月9日 20時