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your side
気が付けば辺りは真っ暗。
辰哉の今までの優しさと、昨日のやり取りを思い出してはそのギャップに悲しくなって泣いて、を繰り返してこんな時間。
喉はカラカラで、食欲もなくて、さすがに水分を摂らずに出し続けると体調も悪くなるんだな、なんて冷静に考えながらフラフラと冷蔵庫に水を取りに行く。
ピーンポーン
…誰だろ、宅配便とか頼んでなかったよな…
もしかして…辰哉…？
慌てて開けるとそこにいたのは、
「心配で来ちゃった」
蓮くんだった。
そうだよ、辰哉が来るはずない。
『ご、ごめん、なんでもないから…』
「もう見たよ、目パンパンで酷い顔」
『…見ないで』
必死に顔を隠そうとする手を掴まれ、気付けば蓮くんの腕の中に収まっていた。
「これなら見えないからいいでしょ」
『…ちょ、蓮くん』
「俺、Aの事が好き」
『……………』
「すっげえ好き、死ぬほど好き」
『…ありがと……』
「俺ならAを幸せに出来るよ」
蓮くんの気持ちが荒んだ心にダイレクトに響いてくる。
「ふっかさんに振られた？」
『…うん』
「ならいいじゃん、俺にしなよ」
『気持ちは嬉しいけど…でも』
「そんなにふっかさんが好き？」
『…最初はただ甘えてただけだったの、でも気付いたらすごく好きで、伝えたかったけど…振られちゃった』
「俺は待てるよ、ふっかさんなんて俺が忘れさせる」
蓮くんの腕が緩み、真っ直ぐ私の顔を見つめる。
『…ありがとう蓮くん』
「とりあえず、目冷やそっか？」
そう言って蓮くんは私をソファに座らせるとタオル借りていい？と、水で濡らして持ってきてくれた。
右側にぴったりと寄り添う蓮くん。
「…ふっかさんより俺の方がいいと思うけどなー？」
『だね、分かってる』
「それでもふっかさんがいいんだ？」
『…うん』
そう、蓮くんと付き合ったら不安になんてならないだろうし、すごく大切にしてくれると思う。
連絡もマメにくれて、愛を感じられると思う。
でも、私が好きなのはどう足掻いたって辰哉。
「あー…もう我慢出来ない、弱ってる時に男家に入れちゃダメだよ」
そう言われた次の瞬間。
視界は上を向き、蓮くんの顔が目の前にあった。
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作者名：momo | 作成日時：2022年7月5日 11時
