雨のせい ページ28
あんな別れ方だったのに、今更何なの?
それに今は、もうちゃんと吹っ切れてるつもり。
だから行かない。
そう決めていたのに。
阿「あー今日は夜大雨かも」
『阿部さんそんなことわかるの?』
佐「これでも阿部ちゃんは天気予報士だからね〜!」
阿「天気予報士じゃなくて、気象予報士ね!」
岩「傘持ってきた?阿部ちゃんの天気予報当たるから見くびらない方がいいよ」
『置き傘してるから大丈夫です!』
雨、か。
待ってるなんて言ってたけど、さすがに傘持ってるよね?
持ってても持ってなくても、酷くなったら帰るよね。
和也の家から最寄り駅までは徒歩15分くらい。
屋根のある道じゃないし、コンビニも駅出ちゃったら家の先まで行かないとないけど…そんなわけないよね。
ドラマじゃあるまいし。
渡「うわ、まじで雨じゃん」
目「最悪っすね」
佐「俺っち車で来てるから乗せて帰ろっか?」
渡「よくやった佐久間!」
目「じゃあ俺もお言葉に甘えて」
佐「Aちゃんも乗ってくー?」
『…え、っと私、傘あるし、寄るところがあるから大丈夫です!』
佐「そー?気をつけて帰るでやんす!」
一人で駅まで歩き出す。
正直、行かなくていいと思ってる。
分かってる。
でも、それじゃダメな気もする。
だからいないことを確認したらすぐ帰る。
ほんとにすぐ帰る。
いつもとは違う電車に乗って、窓から見える景色はあの頃と何も変わってない。
電車に吹き付ける雨で滲む景色。
気付けば真っ暗、土砂降り。
ほんとに、絶対、すぐ帰る。
そのつもりだったのに…
『来ないって言ったのに』
「…A。やっぱり来てくれた」
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作者名:momo | 作成日時:2022年7月5日 11時