宣戦布告 ページ7
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険しい顔をした目黒くんは外に出ても私の腕を掴んだままで、振り向かない。
『…あの、助けてくれて、ありがとう』
「ああいうのよくあるんすか?」
手は掴んだまま、振り返って真っ直ぐ見つめてくる目黒くんに少し怯む。
目が合ったまま、口ごもる私。
『…ごくごくたまに、だけどね、』
「Aさんが美人なのも分かるけど、」
『…そんなこと、』
「あるよ」
そう言って目黒くんは掴んでいた手を引いた。当然私は目黒くんの方へ体勢を崩した。
『ちょっ…目黒く、』
「そりゃ、束縛したくもなるよね、こんな可愛くて美人で、周りの男もほっとかないし…俺もだけど」
ぎゅ、と抱きしめられる。
「俺、本気なんでマジで狙いに行きますから」
覚悟してて下さい、そう言って照と近い高身長な彼の腕の中でもがく。
『…だから、私には、』
「彼氏がいる、でしょ?いいよそんなのどうでも」
『え、』
「…俺、彼氏からAさんのこと奪うから」
腕を緩めて、凄く近い距離で、それでいて目をそらさず真っ直ぐ私を見て。
呆気に取られて言葉が出ない。
「…A?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこには、
『照、』
まさかここで遭遇するなんて、と思ったけど確かに今日の歓迎会会場は照の会社の近くで、この店で歓迎会あるよなんて呑気に数日前に伝えていた。
「…誰お前」
照が怖い顔で目黒くんを睨みつける。
「…あー、噂の束縛彼氏さん?丁度良かったっす、こんなに早く会えるとは思ってませんでしたけど」
「は?」
今にも殴りかかりそうな照が私を引っ張って腕の中に収めた。
「あ、どうも俺Aさんの会社の後輩で、教育係してもらう事になりました。
で、Aさん…俺が貰います」
堂々たる宣戦布告。
私はもう為す術もなく、照の腕の中でじっと二人の会話を聞いていた。
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momo(プロフ) - 優さん» そんなこと言っていただけて、感無量です😢ありがとうございます。幸せなお話とかももっと書きたかったので、何か少し書こうかな🥰ありがとうございます! (7月26日 12時) (レス) id: eddc8054fa (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - みきさん» ありがとうございます!!!舘様の会社員系、いいですね!次作で、とは言い切れませんが先々書きたいので、私の動向を追って頂けると嬉しいです🙇♀️よろしくお願いします! (7月26日 12時) (レス) id: eddc8054fa (このIDを非表示/違反報告)
優 - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした。ここ最近はずっと更新が楽しみで楽しませていただきました。少し寂しいですがまたその後のお話とかも読めたら嬉しいです。 (7月26日 7時) (レス) @page44 id: f062300241 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結、おめでとうございます。次のリクエストとして、舘様との会社員設定で、舘様が部下とのストーリーをお願いしたいです。 (7月26日 5時) (レス) @page43 id: cefd7f5dc8 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - maundyさん» 重めの展開が続いて来たので、渡辺さんに和ませて貰いました🥰親愛なる岩本さんの為なら何でもやれちゃう深澤さんです😉 (7月16日 18時) (レス) id: eddc8054fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momo | 作成日時:2023年6月16日 1時