私の専属ヒーロー2

俺に任せて ページ29

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目黒くんが帰って、一人になる。

今日だけは一人になるのが辛かったけど、目黒くんにこれ以上縋ったらずるい女になってしまう、なんて今更な事を思って黙って見送った。




もう何も信じられなくて、照に話を聞かなきゃとは思うのに何も言えない。

照と向き合うのが怖い。

もうお前のことなんか好きじゃないって言われるのが怖い。





結局一睡も出来ないまま、気付けば日付が変わっていた。



とりあえずシャワーを浴びて適当に化粧をして、家を出る。

今日こそ隠せないんじゃないかと思っていた瞼は、擦る気力もなかったおかげで目立つほど腫れてはいなかった。




「…あれ、Aちゃん」

会社の最寄り駅から会社へと向かう道。

声を掛けられて振り返ると深澤先輩。

『…おはようございます』

「…照となんかあった？」



クマに、ほんのり腫れた目。

いつもよりも手入れのされていない姿を見て察したのかもしれない。



もしくは、照から何か聞いているのかも。

でも、照から何か聞いてますか、なんて聞こうものなら何かありましたと言っているようなものだ。

聞きたくても聞けない。

なんと返したらいいか分からず、俯いていると深澤先輩の手の平が柔らかく私の頭に乗る。





「俺に任せて、Aちゃん」



それだけ言うと、深澤先輩は私を追い越して行ってしまった。

任せるって、何も話してないのに。

それにもう任せるも何も手遅れなのに。



その日は集中出来ないし、目黒くんには気を遣わせるし、散々だった。










「…あーもしもし？ちょっと聞きたいことがあるんだよねぇ」





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