夏祭りの誘い ページ20
.
「んじゃ、またねAちゃん」
『はい、今日はありがとうございました』
「いーのいーの」
俺がAちゃんと帰りたかっただけだよ、と。
優しく言って遠くなる後ろ姿。
今日深澤先輩がいなかったら、きっと今頃家で泣いてたんだろうな。
そして、夜になるとスマホが震えた。
「もしもし？A？」
『由香？』
「もう、超楽しかったよ！」
『…そうなんだ、良かったね』
「岩本くん、あんな見た目なのに甘いものがすごく好きらしくて！」
そうなんだ、でも確かにチョコくれたな。
なんて妙に冷静な自分。
「夏祭りもね、一緒に行こうって誘ったの！」
『…そっか、いいね』
「あ、まだ返事は貰ってないんだけどね！」
『そっか…』
夏祭り、いいな。
私も岩本くんと行きたかった。
「ね、康二も誘ってダブルデートとかどう？」
…知らないって、残酷。
言わなかった私が悪いんだけどね。
「ちなみに康二はいいって！」
『…うん、いいよ』
本当は嫌に決まってる。
でも、断る理由が浮かばなかった。
由香は嬉しそうに浴衣着ていこうね、なんて弾んだ声で話していて、もう半ば自暴自棄。
どうにでもなれ、なんて思ってしまう。
由香に話さなきゃいけない、そうは思うけど話してから気まずくなったら、とかそんなことを考えたら私の口は固く閉じてしまう。
一方的に好きでいるだけならいいのかもしれない。
「じゃ、また明日ね！」
『うん、おやすみ』
誰かに頼りたい、苦しいって言いたい。
そんな気持ちになったのは…先生に呼び出されてた時以来だな。
そうだよ、あの苦しみに比べたら岩本くんが救いあげてくれた今の世界の方がよっぽど幸せ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1048人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
momo(プロフ) - うな！さん» そう言っていただけると執筆意欲が湧きます🫶ありがとうございます！！！ (6月6日 21時) (
レス) id: b42494bf86 (このIDを非表示/違反報告)
うな！ - マジで最高すぎます！！！！続きが楽しみすぎる…！ (6月6日 18時) (レス) @page18 id: 4785f44992 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - さーちゃんさん» ありがとうございます(><)探り探りではありますが、もっとキュンキュンして貰えるように頑張ります🥰 (6月6日 12時) (レス) id: b42494bf86 (このIDを非表示/違反報告)
さーちゃん(プロフ) - キュンキュンします😍更新楽しみです😊 (6月6日 11時) (レス) id: 645033c6ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：momo | 作成日時：2023年6月5日 2時
