私の専属ヒーロー

すき ページ12

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結局色々考えすぎて、岩本くんに連絡なんて出来なかった。



ついでに大して眠れてない。




ぼーっとする頭で、何とか学校まで辿り着いた。





「おはよ、A！」

『あ、由香おはよ』

「なんかクマ酷いね？大丈夫？」

『…まあ、うん大丈夫』


大丈夫じゃないけど。

なんて言葉は心の中にしまう。




「あのね、話したいことがあるんだ」

もじもじ、という擬音がピッタリなくらいソワソワしながら由香が呟く。


『うん、なに？』

「………や、やっぱ後で言う！」

『…うん？』



SHRが始まり、ちらっと康二の方を見ると、バッチリ目が合った。



『………？』



口パクで何か言ってる。


でも何を言ってるか分からない。



よーく見つめてみると、


「す き」


ちょ、今こんなとこで！




伝わったのが分かると、ふっと笑って康二は前を向いた。


…あざとい。




でも不覚にもキュンとしてしまう。




綺麗に通った鼻筋が斜め後ろからはよく見える。


綺麗な横顔。


って、何考えてんの私！






あっという間にSHRが終わって、由香が近付いてくる。




「…さっきの話、なんだけどね」

『うん』

「私、好きな人出来ちゃった！」


真っ赤に頬を染める由香。


由香はすごく可愛い。


私と違って、女の子らしいし、穏やかな優しい子。





『え！だれだれ？』


そんな由香が好きになる人、誰なんだろう。





「…あのね、C組の岩本くんって分かる？」

『…え、』

「ん？知り合い？」

『…いや、うーん？なんとなく…』


なんで嘘をついたのか、なんて。


この後に続くセリフを察してしまったから。





「その岩本くんのこと、好きになっちゃった！」








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