私の専属ヒーロー

思い出〜かっこいい先輩〜 ページ35

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バイトからの帰り道、節々に出てくる「翔太」という名前について思い返す。



あれは中学2年生の頃だった。


「3年生にめちゃくちゃかっこいい先輩いるよね！」


そんなふうに友達の凛乃が言うから、一緒に3年生の教室が集まる3階に足を運んだ時だった。




「あれー？2年生だよね？なーに、3年になんか用事？」

凛乃が言うカッコいい先輩の一人、田中先輩に声を掛けられる。




「あ、ちょっと音楽室に用事があるんです！」

なんて同じく3階にある音楽室を指さす。



「あーそういう事ね、可愛いね二人とも。連絡先交換する？」

「え、いいんですか？お願いします！」

『あ、えっと…』


かなりチャラそうな空気に戸惑っていると、後ろに人の気配。




「おい樹、後輩に絡むなよ」

「なんだよ翔太！お前も知りたいっしょ？」

「俺は別に知りたいとかな…」

怠そうに喋りながら近付いてきた渡辺先輩と目が合う。

「…教えて、連絡先」

「やっぱ知りたいんじゃねーか！」

なんて笑っている田中先輩をよそに、渡辺先輩は私とだけ連絡先を交換した。






「ちぇー！渡辺先輩目当てだったのに、渡辺先輩完全にAの事しか見えてなかったんだけど！まあでもいっか、田中先輩かっこいいし♪」

『ええっ…？』

「なーに？渡辺先輩、かっこよかったでしょー？」

『…うん』



そして連絡を取り合うようになって、部活の試合を見に行く事もあったり。




「…俺と、付き合って」

『…私でいいんですか？』

「Aがいいの、」

恥ずいから言わせんな、なんて片手で顔を隠した翔太くんはすごくかっこよかった。



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