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閉店後の、誰も居ない店内に入ったヴィクターは、何の躊躇いもなくカウンター席に着いた。
机に置いてある角砂糖を食べ始める彼を、ライナーは叱らない。ヴィクターには何を言っても無駄だと経験上分かっていたからだ。
「相変わらず、ここの菓子は美味い」
「それはお菓子じゃなくて調味料なんだけどねぇ……」
ライナーは、ヴィクターが来てから幾度となく付いた溜息をまた吐いた。
そんな様子は全く気にせず、ヴィクターは持ってきたガラス製の筒を差し出した。
「これに満タンになるように豆を詰めてくれ」
「……じゃ、渡しな」
「だからこれを」
「違うよ、入れ物じゃなくて代金!タダで商品取られたら困るの!」
彼女にそう指摘されたヴィクターは、ポケットから金貨を取り出した。最高額面のものを十数枚も並べてみせた彼に、ライナーは驚きを隠せない様子だ。
「金はこのくらいで良いか?」
「え……ちょっと、こんなにたくさんは要らないって!というか、こんなお金、どうやって稼いだ?」
「うちに、自分の発明を買いたいとか言う奴が来て、設計図渡したら、これを置いて帰った」
「発明品を買いたい?……貴方程じゃ無いけど、妙な人もいるもんだね。ま、そういう奴等のおかげで、貴方が飢えずに済んでるんだろうけど」
ライナーは金貨を一枚だけ取り、あとはヴィクターの方へ押しやった。
それを無造作にポケットに押し込んで、ライナーを目で追う。
「……ところで、どういう機械の設計図が売れたって?」
「電気で動く吸引装置だ。あれは砂埃を吸い取る位しかできない失敗作だったがな」
「物好き極まった人だったのかもしれないな」
「それはそうと、コーヒーを一杯淹れてくれ、レイザー」
「私はライナーだ!」
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鯱丸(プロフ) - うちのブランを登場させていただきありがとうございます!小説の内容もとても面白かったので、更新頑張ってくださいね。 (2018年2月25日 21時) (レス) id: 933808dc1c (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 通りすがりさん» お話のタイトルが表示されないだけで、お話自体はちゃんと書いてありますよ!占いツクール初心者さんには使いづらかったりわかりにくいシステムもあるかとは思いますが、これから頑張って色々な事を覚えて、素敵な占ツクライフを楽しんでくださいね! (2018年1月9日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - (続き)
2話、3話があると思われる欄の脇には更新日時が表記されてるのにお話がないので。
(こちらの問題や勘違いだったらすみません。)
ご不快になられたならすみません。 (2018年1月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - いえ…そういう深い意味合いがあるとかでなく、ただほんとに『1話手段の…』の下の段、2話、3話があると思うとこにお話(の選択?)が表示されていないので質問させて頂きました。
(2018年1月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 通りすがりさん» 小説の書き方には詳しい方ですかね?もし良い表現方法があれば、ぜひ教えてください! (2018年1月9日 16時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月3日 22時