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「えっと、あの、シャオロン様……って」
「ああ、なるほど。シャオロン様、これからメイドとして精一杯勤めさせていただきますので何卒よろしくお願いいたします」
顔を赤らめながら視線を逸らしてモジモジとする彼をみて全てを察した。
まあ様付けされたい時期って誰でもあるよな、大体子供の時だけど。
「あ、ありがとう。結構憧れやったんよ、様付けされるの」
可愛らしい照れ笑いを溢す彼を見ていると別にいくらでも名前ぐらい呼んで差し上げたい所だ。
「でもシャオロン様方はかなりの良家のご子息と聞いておりますが……いくらでもそう呼ばれる事はあったのでは？」
私が疑問を口にするとシャオロン様は“そうじゃないんよ”と激しく顔を横に振った。
なんかさっきから言動が純粋な子どもみたいで和むな。
「そもそもどいつもこいつも媚び売るってそう言ってくる奴ばっかやったんよ。それに俺の家執事しか居んかったから男に言われても嬉しくないし」
「なるほど。それは災難でございましたね」
ため息をついたシャオロン様にそう声をかけると、“絶対災難やって思ってないやろ”とジト目で見つめられてしまった。
いけない、もう少し言葉に抑揚をつけなければ。
「まあもうすぐ他の奴も降りてくると思うから」
「承知いたしました。先にご用意いたしますか？」
「どうせあいつら遅いやろうからお願いするわ」
彼の返事に頭を下げてから綺麗な白い食器に食事を盛り付けていく。
「ご用意いたしました。お口に合うと良いのですが」
シャオロン様が座った席の前に夕食を持っていくと彼はお礼を言ってさっそくスープを口につけた。
「ん、美味しいやん。なかなかやるなぁ」
「お褒めいただき大変光栄です」
上機嫌で食べ進めるシャオロン様を見て少し安心する。
夕食は七時半からなのでもうそろそろ彼以外の人も降りてくるだろうか。
とりあえず鍋に蓋をしたりラップをかけたりして食事は置いておこう。
シャオロン様が食事を進めている中、私も他の誰かが降りてくるのを待ち続けていたがもう時刻は八時を回ろうとしていた。
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作者名：たこやき | 作成日時：2023年12月17日 16時
