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書類を読み終わって時計を見るともう十八時前になっていた。
そろそろ夕食作らないとな。
書類には七時半に夕食と書いてあったのでそこまでに間に合えばいいだろう。
キッチンの場所を書類と共に渡された地図で確認し、大きな屋敷の中で迷子にならないよう気をつけながら進む。
家の中で迷子って普通は意味不明だが、それが意味不明にならないのがこの屋敷の恐ろしい所だ。
無事キッチンに辿り着いた私は、まず近くのリビングにある掲示板を確認しに行った。
トントン様の口ぶり的にてっきり全員分必要なのかと思っていたが、今日は不在の人も多いらしく私を含め八人分で良いらしい。
それにしてもここまでの道中もリビングにも誰一人としていないが、皆不在なのか自室にいるのだろうか。
まあ他にも色んな部屋あったから各々自由に過ごしている感じなのかな。
キッチンに戻った私は気合を入れて夕食を用意した。
一人用のご飯しか作り慣れていない私にとっては七人分を用意するだけでも中々骨が折れる作業だったが、なんとか作り終えることができた。
「ん、なんか良い匂いするなぁ」
廊下の奥から人の声が聞こえてきた。ようやくトントン様以外の方に会えるのか。
「あれ、君ってもしかしたら今日入った──」
「お初にお目にかかります。メイドとして本日より勤めさせていただきます、佐藤Aと申します」
可愛らしい声の茶髪の男性に頭を下げた。確かこのお方はシャオロン様だったよな。
さっきの出来事のせいで“女性化していない人だったよな”なんて変なイメージが浮かんでしまった。
別に誰も女性にはなっていないはずなのだが。
「ああやっぱり今日からやったんや。えっと俺、シャオロンっていうんやけど……」
そう言うとシャオロン様は子供のように瞳を輝かせてこちらを見つめてくる。
えっと、いったい、何を期待されているのだろうか。
「シャオロン様ですね。よろしくお願いいたします」
当たり障りない言葉を使うとシャオロン様が身を乗り出して感動したような表情で見つめてくる。
「もう一回言ってくれへん？」
「えっと、何を言えばよろしいのでしょうか？」
彼は一体何にここまで感動しているのだろう。
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作者名：たこやき | 作成日時：2023年12月17日 16時
