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トントン様についていくと一階の角部屋に辿り着いた。
「誰も使ってない部屋やけどこの前掃除したんである程度は綺麗になってると思います」
そう言って彼が扉を開けると、思ったよりも広い部屋に私が使ったこともないような豪華な家具が並べられていた。
「……これは一メイドが使ってもよろしい物なのでしょうか」
「まあこういうの有り余ってたんで。あんま気にせんといてください」
彼にそう言われてはこれ以上引き下がるわけにもいかず素直にお礼を言って使わせていただくことにした。
「今日はもう洗濯と昼食は済んでいるので夕食からお願いします。材料は冷蔵庫に十二人分入ってるんで」
「了解いたしました」
一応私の分もちゃんと用意してくれてるんだな。
まあそれが条件だったから当たり前といえば当たり前だけども。
「あ、後屋敷にいる間は基本的にそのクローゼットに入っている服を着てもらうことになります。何着かあるので洗濯しつつ着まわしてもらえば」
いわゆるメイド服的なものだろうか。フリフリなやつだったら嫌だな。
返事をするとトントン様は、じゃあ渡した書類の確認お願いします、と言って扉を開けて部屋を立ち去ろうとする。
「あ、あの」
「あ、何か伝え忘れでもありました？」
「いえ。私はメイドの身ですので敬語は外していただいて構いません、とお伝えしようと思いまして」
彼は驚いた顔をしてから少しだけはにかんだ。
唐突すぎて逆に不躾かと思ったが気分を害していなさそうでよかった。
「……分かった。あの、一応確認やけど、佐藤さんってメイドやるの初めてやねんな？」
「はい。今まではメイドとは無縁の生活を送っておりました」
もう既にその話はしたはずなのに今更質問をしてくるトントン様を不思議に思う。
「いやなんか適当能力凄いなと思て。普通一般人がそんなメイドみたいなキャラに徹するの無理やで」
クスクス笑いながらメガネをあげる彼を見ると初対面の時よりも親しみやすい印象を覚える。
まあ確かに私の性格的にもメイドって結構性に合ってるのかもな。
距離感近すぎるとどう接すればいいか分からなくなるし。
その後トントン様が部屋を出て行ったためクローゼットを確認することにした。
ドアが鍵付きなのがプライバシー的にもありがたい。
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作者名：たこやき | 作成日時：2023年12月17日 16時
