[テニプリ]...コレってある意味ウチも逆ハーに入るんかな、とか思う今日この頃、パート3。 (ページ28)

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97話幼少期のアメリカ在住の私。ページ28

私は父を見たことが、母がぶっ倒れるまで一度もなかった。

母はとてもよく働いていて、私に苦労させまいと毎日毎日

休むことなく家を出ていた。

あるなんでもない１日で、とうとう肉体的な限界が来たらしく

私の母は救急車で運ばれた。

そのときに、家にあった電話帳から母の知り合いにかけてもらい、

色々あって私の祖母らしき人と出会った。

その人は私を見るなり抱き締めた。

多分私はその人とは会った記憶がないから

凄く前に会ったんだろう。

それか、私が生まれたことを母が知らせなかったかのどちらかだった。

しばらく抱き締めてくれて、いくらか経つと私に話しかけていた。

「貴方の名前と年齢を教えて？」

「たかじょう、あいです。さんさいです...」

それが私と祖母の初めての会話だった。

何故私が祖母と会えなかったのかって？

私が生まれたのも育ったのもアメリカだったからだよ。

多分母は跡部の人との子供を生んだと分かった後に

アメリカに渡り、跡部の情報網にひっかからないように

したんだろうと思う。

母の実家は普通の自営業をしていて、会社を経営していた。

跡部のようなその頃流れに乗っているところの人とは釣り合わないとか

思っていて、跡部の人が婚約者と結婚するまでとか

考えていたんだろうけど...

子供が出来れば話は別で私をこっそりとアメリカで生んだんだろう。

私は跡部にとっては厄介者になる。

そうなれば跡部の家も廃れたり廃業...までは行かないだろうが

発展は望めないだろう。

祖母は色々と気遣ってくれて、日本のお菓子や

スーパーでは賞味期限がきれていたりする、高い日本の食材を

使って味噌汁を作ってくれた。

その時の味は、絶対に忘れないだろうな。

それに誰かと食べるのは久々で夜も昔話を読んでくれた。

普通ならば聞きあきるものだけど、母は日本の話をしてくれなかったから

凄く見るもの聞くものが真新しく写った。

そんな時に扉が音を出しながら開いた。

楽しかった時が凍り付き恐怖で扉の向こうにある

何かを探した。

その人は、やつれた顔をしていた。

私と同じ髪の色をしていて、たまにみる

母の故郷が写ったアルバムに居た人と激似していた。

その人は私の父親で、遅く来たのは溜まっていた仕事を

無理矢理こなして日本からアメリカに直行した、とても優しい父親だった。

その事を、私はまだ知らなかった。