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「ずっと、Aの事見てきたんだ。誰よりもAの事は知ってるつもりだし、逆に俺の事はAが一番知ってると思うよ。…だから、今まで逃げて来たんだろ。」
彼女の手が震えている、…緊張、しているんだろう。俺だって緊張してる。でも今言わないと。
「でも、逃げ場のないここに来たってことは…そういう事で、良いんだよな。」
今まで静かに聞いていた彼女が恐る恐る口を開く。
「……私、は、……拓司みたいに頭は良くないし、運動とか、あんまり好きじゃない。休日はなるべく家に居たいよ。」
「別に頭がいいから一緒に居ない理由にはならないでしょ。運動苦手でもいいじゃん、そりゃ俺は休日は筋トレとか良くするけど、別にAとはゆっくり家で映画見るのもすげーいいと思ってるよ。」
「っ、…あ、愛想も良くないし、特別可愛かったり美人でも無いよ。拓司の隣になんか…」
「そんな事ない。」
彼女の言葉を遮るように否定する。
「絶対、そんな事ない。俺はAがいい。Aが隣じゃなきゃ嫌だよ。そのくらい分かってるでしょ。……ねぇ、」
そんな泣きそうな顔しないでよ。
でもまぁ、これから沢山笑顔にさせればいいか。
「……俺に、言わせてくれる？」
そっと、彼女の頭が頷いた。
「……、＿＿＿＿＿＿＿」
「っ、……私も、拓司の事が＿＿＿＿＿＿＿」
「っ、はは、……そんなの、とっくに知ってるよ。」
一回り小さい彼女を包み込むように抱きしめる。
あぁ、
お互いの事を1番によく理解していたからこそ、臆病になって逃げていた彼女と最後まで諦めずに追いかけて捕まえた彼の話です。
kwmr『ホームランのおと』→←izw『鬼ごっこももうお終い』
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作者名：おらんげ | 作成日時：2021年11月27日 21時
