いくつもの夜を (ページ41)

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第41夜ページ41

in side

「っ、いっ、のおちゃんっ！！」

ばたばたと遠くから見てもわかるぐらい騒々しい走り方で、彼は夜の中から出てきた。

きぃ、と軋むブランコから降りて、彼のもとへ向かう。

「やまだ、だいじょぶ？息、すっごい荒いけど。」

「くうき、たりない、」

背中をさすってあげると、山田は顔をあげてこちらを見た。

「いのおちゃ、」

「山田に、話したいことあるんだよね。」

「……なに？」

先手必勝。山田の言葉を遮って、おれは作り笑いをする。

「知念と大ちゃん、うまくいった？」

「……たぶん。」

「……じゃ、もっかい山田とおれの関係は戻る？」

「……は？」

ぽかん、としてから怪訝そうな目線をこっちに送る山田に微笑みかけた。

「おれ、けっこー山田のこと好きだよ。だから、もっかいおれを使わない？」

「伊野尾ちゃん、まじ？」

「まじ。」

はあぁ、と大きく息を吐いてしゃがみこむ山田に合わせて、おれもしゃがむ。

「ね、やまだ……」

小さく名前を呼ぶと、顔を上げた山田と目があって。

「え、なに、やま、」

ちゅ、と小さなリップ音がして、唇が重なった。

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