ユニゾン・ウェーブ

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臣「おい隆二、しっかりしろ！
こいつは人間！」

隆「でも……可哀想だよ、
こんなに震えて、」

臣「いつも言ってるだろ？
お前、拾って責任取れんの？
ほっとけないって思うのはお前の勝手だけど、
拾ったくせに面倒見れなかったら
お前も捨てんのか？」

隆「……」

臣「責任取れないんだったら拾うな。
ほっとけ。俺らには関係ない」



臣さんがそう言うと
それまで黙っていた健二郎さんが口を開いた。



健「なんでそんなに
アンコンていうやつ出たいん？」

「……吹奏楽は、合奏しなきゃ意味ないです。
ひとりで楽器吹いてても、全然楽しくない。
それに、やるからには
目標がほしいじゃないですか。
だからどうすればいいかなって考えて、
アンコンなら少人数で出られるし、」

健「そもそも吹奏楽やりたいんやったら
他の高校行けばよかったやん。
うちの吹奏楽部が活動してないの、
知ってたやろ？」



健二郎さんに突っ込まれて、
小西さんが黙り込む。

しばらく俯いていたけど
やがて意を決したように顔を上げた。



「この学校しかダメだったんです。
他の高校に行くことは、
許可されませんでした」

健「誰に？」

「……父に。
私、中学で吹奏楽始めて、
そこは全国大会に行くような強豪校だったから
すごく練習してました。
でも練習に時間を取られて、
成績が下がってしまって……
吹奏楽部を辞めされられて、
私はコンクールに出られませんでした。
あんなに練習したのに」

健「……」

「高校も、ここは県内トップだし
吹奏楽部はあるけど活動していないから
ここにしろと言われました。
でも、どうしても諦められなくて……
名簿で先輩たちの名前見て、
チャンスだって思って、」



そう言ったAさんが
泣き出してしまった。

それを見た隆二さんももらい泣きして
涙をこぼす。

うんざり顔の臣さん。

泣いてる隆二さんを見て
笑いそうになるのを堪えている健二郎さん。

この状況を、どう収拾つければいいんだろう。

思いあぐねていると、
Aさんがブレザーのポケットから
ハンカチを取り出し、
眼鏡を外して顔を拭った。

そうすると綺麗な顔立ちがあらわになって
それに気づいた健二郎さんが
「え？！」と声を上げる。



健「眼鏡外したら美少女て、漫画か！」

「……はい？」



ぱちぱちと瞬きをしたAさんが
眼鏡をかけようとする。

すると、健二郎さんは慌てて眼鏡を奪った。

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