ユニゾン・ウェーブ

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臣さんいきつけの美容院は
シックで落ち着いた雰囲気で、
敬浩さんという美容師さんも
大人の男って感じの人だった。

Aを見て、「髪綺麗だね」と呟く。



敬「お任せでいいんだっけ？」

臣「A、どうする？
なんかしたい髪型あんなら
敬浩さん完璧に再現してくれるし、
お任せにしても、
めっちゃ似合う髪型にしてくれるけど」



オシャレな美容院に気後れしたらしいAが、
おどおどしながら
「あの、特にないので、お任せで」と答える。

すると、敬浩さんはニッコリ笑って
「こちらへどうぞ」とAを案内した。



臣「敬浩さん、俺らも見てていいっすか」

敬「4人もいたらジャマだよ。
大人しく待合室に座ってな？
めっちゃ可愛くしてあげるから」



自信満々にウインクした敬浩さんが、
Aを連れて行く。

臣さんの髪型を常に見てきた俺としては、
敬浩さんは腕のいい人なんだろうなとは思うけど、
ガチガチになっていたAが心配でもある。

案の定、しばらくして戻ってきた敬浩さんが
苦笑しながら「岩田くんって子、来て」と
俺を呼びに来た。



敬「髪解かせてくれない。
『岩田くんに聞かなきゃ』とか言ってんだけど」



俺に聞くって、何をだろう。

訝しく思ったけど、
とりあえず呼ばれたので敬浩さんについていった。
すると、ケープをかけられた状態で
泣きそうな顔をしていたAが、
鏡越しに俺を見て安心したような顔をする。



「あの、ごめんなさい、急に不安になって。
ずっと長いままだったし、
切っちゃっていいのかなって、」

岩「じゃあ揃えてもらうだけにしたら？」

「でも……」

岩「あんまり短くしない方が俺は好きかなぁ。
あと、Aは髪綺麗だから染めない方がいい」

「……ほんと？」

岩「うん。もったいないよ」

たぶん、Aはお下げをやめるだけで
だいぶ違うと思う。

あとは可愛らしい感じに
形を整えてもらうだけでいいんじゃないだろうか。

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