ユニゾン・ウェーブ

第5章 親睦を深める会 ページ27

健「あー疲れたぁ。
めっちゃくちびる痛いわー」



練習を終えて、
俺らは『ELLY's Burger』にやってきた。

最近は、ここでハンバーガーセットを食っても
夜遊びには行かない。

練習は夜遊びより疲れるし、
帰って早く寝たくなる。



健「俺らなんで
こんなマジメにがんばってんねやろ？」

臣「根がマジメだからじゃね？」

隆「臣のせいだね」

臣「くっそ分かってるよマジで反省してっから
それはもう言うなよ！」



座って楽器を吹いているだけなのに、
なぜこんなにも疲れるのだろう。

臣さんたちの話にも乗れなくて、
俺は黙り込んだままだった。

もう1ヶ月以上夜遊びに行ってない。

土日は学校が休みだから練習はないけど、
なんとなく行く気になれなくて
出かけても夕方くらいに帰る。

遊びたいという欲求が
すっからかんになってしまった自分が、
不思議で仕方ない。



健「岩ちゃんが一番変わったよな」

隆「うん、俺も思う」

臣「こいつAに惚れてるもんな。
気に入ってもらうために練習がんばっちゃって」

岩「はぁ？」



臣さんのありえない発言に、思わず素が出る。

すると臣さんが
「おい！俺先輩だぞ」と笑いながら
俺の頭を叩いた。



岩「意味分かんないっす」

健「あー、自分で気づいてへんパターンかー」

隆「しょうがないよ、A可愛いし。
いいんじゃない？がんばれ岩ちゃん」

岩「いやいやマジないっすから」



確かにあいつはすごいと思う。

フルートはうまいし、教え方もうまい。

それに、一生懸命
吹奏楽に打ち込んでいるところは
うらやましかったりもする。

でもそれだけだ。

別に好きとかそういう感情は持ってない。

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