ユニゾン・ウェーブ

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「こっちの細長い棒が
ついてるのは、オーボエです。
オーボエはダブルリードなので
音を出すのが結構難しいですが、
運指は結構簡単です」

健「へー」

「こっちはバスクラリネットです。
クラリネットの仲間です。
低い音が出ます。
なので、クラリネットより肺活量が必要です」

臣「ふーん」

「こっちはアルトサックスです。
たぶん一番簡単だと思います。
特に、今回はホルンの代用で使うので
伴奏が多いですし」

健「ほんなら俺それにするわ！」

臣「あっ健ちゃんずりぃよ、俺も！」

隆「えー俺もー。じゃんけんしよーぜ」



そう言った3人が、じゃんけんを始めた。



俺だけ後輩なので、たぶん残った楽器を
やらされることになるだろう。

難しいやつはやだなーと思っていると
苦笑したAさんと目が合った。

その目が分かるー、というように
言ってるように見えて、
もしかしたらAさんも
上下関係の厳しいところに
いたのかもしれない、と思う。

強豪の吹奏楽部というのは
体育会系に近いのかもしれない。



健「よっしゃー！勝ったどー！」

隆「あー2番目かぁー」

臣「くっそ……やべー、3番かよ！」



一番勝ちだった健二郎さんが、
アルトサックスを手に取った。



隆「2番目に簡単なのってどれ？」

「うーん、人によりますけど
クラリネットじゃないですかね」

隆「じゃあそれにする！」

臣「3番は？」

「オーボエが一番難しいと思うので、
消去法でバスクラですね」

臣「くっそ……でけーなこれ」



隆二さんがクラリネット、
臣さんがバスクラリネットを取ったので
俺は残りもののオーボエになってしまった。

一番難しいという言葉に、
テンションが下がる。



健「これどうやって吹くん？」

「あ、待ってください。
リードつけないといけないんで」

健「リード？」



首を傾げた俺たちに
Aさんは水の入ったコップを持ってきた。

中には小さな木切れが入っている。

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