会計帳簿の段 ページ44
わお。吉野先生お怒りのご様子。仙蔵の話によるとこういうポカは小松田さんあるあるなのだそう。
これは量もあったので所要時間10分ほど。
「仕分け終わりました。次は何を致しましょうか?」
「ふむ。それではこの帳面を会計委員会の誰かに渡すか、会計室の机に置いてきて欲しいのですが」
「“会計報告書”…ですか」
「私が会計監査をしているもので」
「安藤先生ではないのですね」
「安藤先生は会計委員会顧問なので監査はできないのですよ。お陰で私の仕事が増えてしまってもう…」
「た、大変ですね…」
この時代にいるうちは、吉野先生のことをなるべくお助けして差し上げたいな。
ちょうど授業終了の鐘が鳴る頃(ヘムヘムが鐘楼に向かって歩いていった)なので、教室棟に行って文次郎君に直接渡すことにする。
六年い組の教室の前まで来て、教室がとても静かなことに気がつく。そっと覗くと誰もいなくて、屋外で実技の授業のようだ。
そこで会計委員会には上級生がもう一人いたことを思い出す。四年ろ組の田村三木ヱ門君だ。その子に渡そうと思いつく。
鐘が鳴り、先生も退室されたのでそろりと覗いてみると、いた。浜君の隣に円な赤い瞳の三木ヱ門君だ。ちゃんと話したことはないけれど、文次郎君と一緒にいるところを見かけて、その特徴的な見た目ですぐに覚えられた。
「あの、三木ヱ「あっ!Aさんだ!!」
私の言葉は浜くんの声量にかき消されてしまった。
「どうして四年ろ組に?はっ!まさか友達一号の俺を訪ねて来たとか!?」
あ〜どうしよ、違うんですけど〜。でも違うとは言えないね?
「あ〜…うん。浜君の顔を見に来たのと、三木ヱ門君に用事があって」
「私に?」
「これ、吉野先生から会計委員会の誰かに渡すよう頼まれて来たの。会計監査が終わったみたい」
「ああ!わざわざありがとうございます!」
う〜ん、可愛い!アイドルにいそう!推したい!
「会計室でもいいって言われたんだけど、どこか分かんなくて三木ヱ門君のところに持って来ちゃった。荷物になっちゃってごめんね」
「いえいえそんな!十キロ算盤に比べたら屁でもありませんよッ!」
十キロ算盤…!?会計委員会はそんな物騒な算盤使ってんの!?
「良かった〜。それじゃあまたね」
「ありがとうございました!」
「あ!Aさん待って!」
浜君が呼び止める。
「どうしたの?」
「元気を注入して下さい!」
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時