忍術学園をお手伝いの段 ページ43
この時代に降り立って早一週間が経過した。
お風呂の件は、私が進言する前に職員会議で話し合われたらしく、雷蔵君の言ったように私専用の時間帯が設けられる事となった。大変ありがたい。
一方私は色んな忍たまとも顔見知りになってきて、それに伴い行動範囲も広がっていった。そこで私は一つの決断をする。
「忍術学園のお役に立てることをする!」
「ほう、具体的には?」
仙蔵が訊ねる。
「うーん、学園長先生のお茶出しや食堂のおばちゃんの手伝いは毒を盛る心配をする人がいそうだから、小松田さんのお手伝いとか差し障りなさそうなものから?」
「それは良いな。小松田さんのヘマが減りそうじゃないか。吉野作造先生に話してみるといい」
「吉野作造先生か…どの方だろう?」
「言っては悪いが騙し絵みたいなお顔の先生だ」
「ああ分かった!きっとあの先生だ!」
教職員長屋の一番端に『吉野』と『小松田』の札が掛かった部屋を見つけて、早速声を掛けてみる。
「Aです。吉野作造先生はいらっしゃいますか」
はいどうぞ、と中から声が掛かる。
「失礼致します」
「どうかしましたか?」
「はい。忍術学園の皆様には大変お世話になっておりますので、居候の私でも何かお手伝い出来ることはないかと思いまして…。」
吉野先生はにっこりと笑って手をパン、と叩いた。
「それはありがたい!小松田君は気配察知能力がずば抜けて高く、門番をさせたらピカイチなんですが、それ以外がからっきしで。ぜひお手伝いよろしくお願いします」
「ありがとうございます!早速ですが何を致しましょう?」
「まずは忍たま長屋の厠の塵紙補充、次に山田先生の授業で使う用具のお届け、そしてこの宿題プリントの仕分けなどなど…」
「分かりました。では早速塵紙補充から行って参ります!」
正直塵紙の補充なんてのはすぐ終わる。全ての長屋を回っても未来の時間単位で5分くらいだ。やったうちにも入らない。すぐに吉野先生のお部屋へ戻り、次の仕事に入る。
山田先生へ授業で使う用具のお届けとあるが、用具は既に用意されていて、本当に届けるだけ。これも5分で終了。
そして宿題プリントの仕分け。これは種類もバラバラ、上下も裏表もバラバラの紙を種類別にまとめて欲しいとのことだが…。
「小松田君が転んで混ぜてしまったのです。本来ならやらなくていい仕事なんですが!」
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時