其の肆 ページ5
何なのこの状況は！？！？
大声で起こされたと思ったら穴の中だし、こちらに話している中年男性は何だか古めかしい表現をするし、武器を持っていないかやたら警戒されているし！！
とりあえず素直に従っておくのが吉だろうが…。
脱げるもの全部脱いだし、もう疑われることもないだろうと思った。
なのに！
「最後、その白い衣だ」
ブラウスも脱げとか言うんだこのおじさん！！！
「これはさすがに脱げません！」
「ならば死ぬまで穴倉で過ごすか、せめてもの慈悲で埋めてやらんでもないがどちらにする？」
「そんなっ…」
私が見たのは中年男性二人だが、話し声が聞こえるから穴の外には何人か人がいるのだろう。
ブラウスまで取られたら穴から這い出た時に恥ずかしい！屈辱！！！
しかし脱がなければ死 or 死…。選択肢なんてない！！
「〜〜、分かりましたよ、脱ぎます！」
そうして私は上半身は下着一枚、下半身は制服スカート姿になった。
「袖にも何も仕込まれていなかった。本来ならその短い袴も検めるべきところだが、お主を丸腰と認めよう」
縄梯子が垂らされる。素手素足でこれ登れってか！？
縄のささくれが地味に手に痛い。
でも我慢して登る。痛いから凄い速さでのぼりきった。
「ハァ…ハァ…」
穴から出た先は色々ツッコミどころ満載だったんだけど、一先ず言わせて欲しい。
小学校中学年くらいの子から高校生くらいまで男子ばっかり！
そして私の恰好を見るや否や、高校生くらいの子が近くの小さい子達の目を覆って隠す。それは正しいよ？
で、自分達はガン見！！
顔真っ赤耳真っ赤でこちらを凝視よ！！何でよ！！わースイマセンとか言って目を逸らしてくれよ！！普通そうするだろうよ！！
老竹色の装束を着たモサモサ髪の人が私のブレザーの匂いを嗅ぎながらこちらを見ているのが目に入ったので無言で奪い取って着る。
「うーん女子だったのか！穴の上からでは分からなかったなぁ！」
おじさん二人を睨む。
「我々は上衣を脱がせたところで確信したが、丸腰かどうかを確認する為、致し方なく…相すまぬ」
「女装かもしれんでな」
私は短く息を吐くと、出来る限り凄んだ。
「ここにいる全員……今見たもの記憶から消し去りなさい…」
「「「「ハッ、ハイ」」」」
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年7月31日 17時
