其の陸 ページ35
「なるほど」
もう私は大抵の事では驚かないのではないだろうか。
「全て私一人で画策した事だ。今朝天井裏にいたのも私だ。本当に申し訳ない」
三郎が私に向かって土下座をする。
「いや、俺も協力していました。すみませんでした」
「俺達も、計画の事は知っていました、同罪です」
皆が頭を下げる。
「や、やめてください!私が来て忍術学園の均衡を崩してしまったからこうなったんであって、別に五年生の皆さんが謝ることではないです!
むしろ…ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「全然迷惑なんかじゃ…!」
八左ヱ門君が慌てて否定してくれる。
「ありがとう。でも私はこれからも疑ってもらって構わないので。嘘は言ってませんし、断じて疑われて困る事はしていませんから」
「…いや、さっきの事でハッキリした。非力で鈍臭くてあんなに簡単に乱されるような者が間者である筈がない。私は信用する」
うーん、今ディスられた?
けど信用を得られたなら喜ぶべきだね?
「俺達も、信用します!」
「これから何でも頼って下さい!」
「三郎のこと、こき使ってやってください」
「なっ、何で勝手に決めてんだよ!?」
「フフ…うん!ありがとう!」
「ところであの曲者、未来のことを教えて欲しいと言っていたけれど、昨日の今日でどうしてAさんの事を知り得たんだろう?」
「あいつ、気配の隠し方が一流だった。あの小松田さんも気が付かないくらいだ。昨日も忍術学園に潜んでいて知ったんじゃないか?」
「うん。それで今日は新月だし、六年生もいないし、まだ一枚岩になってないこの時を狙ってきたって可能性は大いにありそうだ」
「Aさんはしばらく夜の一人歩きはしない方がいいと思います。良ければ俺がくのたまの敷地前まで毎日送迎します」
八左ヱ門君…君はなんて優しい人なの?
「今日の八左ヱ門、随分積極的だな?もしやAさんに惚れた?」
「んなっ、勘右衛門!!俺は真剣にAさんを心配してだなぁ!?」
顔を真っ赤にして反論する八左ヱ門君が余りにも可愛くて。
「誰かが送迎するのも一人よりはいいとは思うけど、今日だって兵助が送迎している際に襲撃に遭ったんだから、僕は忍たまの風呂を使うべきなんじゃないかと思う」
「らッ雷蔵!?さすがに忍たまが嫁入り前の娘さんと一緒に風呂に入るのは駄目だろう!?」
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時