其の弐 ページ42
「フム、いいじゃろう！一人で好きな時に好きなだけ出掛けなさい。但し、門を出てもよいのは夜明けから日没までの間！当面の行動範囲は最寄りの町までとする！」
学園長先生は私の要求に二つ返事で了承して下さった。
「十分です！ありがとうございます学園長先生っ！！
早速今から行ってもいいですか！？」
「構わんが、十分気を付けるのじゃぞ。知らない者について行ってはならんからな」
「はいっ！！」
およそ幼児に言い聞かせるような注意を受ける。そんなの分かってるよ…と心の中で思ったが、そう言えばきり丸君のアルバイトで花売りをした時、知らない男について行こうとしてたことを思い出した。私の危機意識は子供以下だった……。しかし同じ轍は踏まない。私はもう大丈夫だ。
利吉さんから頂いた小袖を着て、仙蔵に貰った紅を点し、勘ちゃんのご利益ありそうな髪紐で結って、白南風丸さんから贈られた首飾りをつける。
そして懐には照星さんのお下がりの扇子と、雑渡昆奈門に渡された苦無。
これ最強装備じゃない！？
「あれっ？Aさんお出掛けですかー？」
私が門に近付くと小松田さんが出門票を持って小走りでやって来る。
「はい！町へ行って来ますね」
「もしかして竹谷君と行くんですか？」
「いいえ、一人で町へ行く許可を学園長先生に頂いたんです！こちらが外出許可証ですけど、ほらここ見て下さい！“今後学園長の許可なく一人で外出可”ですって！！」
そう。学園長先生は一度ではなく、これから先も私一人で、しかもお伺いを立てずに出掛けられるようにして下さったのだ！
「ふぇえ！？学園長先生がよくお許しになりましたね！？」
「私が一人で町へ行けたら学園長先生も私にお使い頼み放題だからじゃないですかね？」
「なるほど！それじゃあお気をつけて！
町で何か困ったことがあったら優作兄ちゃんを頼って下さいね〜」
ありがたい。何かあったら小松田屋さんの優作さんを頼らせて頂こう。もしかしたら鹿之介さんもいらっしゃるかもしれないし。
「着いた…！」
一人で町へ来れたなんて夢みたいだ。“未来人だから”という理由で制限されていたものが撤廃されることは、何だかこの時代に私の存在を受け入れられたような、そんな気がして嬉しかった。
小間物屋、金物屋、うどんに蕎麦、団子屋まであらゆる店が立ち並び、私の興奮は最高潮に達した。
(さあ、どこから見て回ろうかな！？)
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
