其の肆（八左ヱ門視点） ページ5
「しかし先輩、これは他のライバル達を出し抜く好機ですよ！」
「確かに、敵だと思われていないなら動きやすい。だがなぁ〜…」
こういう事に慣れてなくて、改めて考えてみるとどういう風に仲を深めていったらいいか分からない。
三郎達に相談してみるか？いや、弊害の方が大きいような気がする。
「八左ヱ門？」
「うわッ！？」
小屋の内部までは滅多に入らないAが顔を出したため、飛び上がるほど驚いてしまった。持っていた餌は無事だったが、まさか話の内容を聞かれていないだろうか…！？
「な、なんだ？」
「今日は小屋から全然出て来ないからどうしたのかなって。ごめん、話の邪魔したみたいね？」
俺と三治郎の顔を見てそう言うが、三治郎は頭をぶんぶんと横に振ってとんでもない事を抜かした。
「いいえ！それより竹谷先輩がAさんに話があるって言ってましたよ！」
「はぁ！？」
そして三治郎、この狭い小屋の中でしゃがんでそっぽを向き、完全に空気に徹しようとしている。せめて話題の準備くらいさせろよな！！改まってする話なんかすぐ思いつかんぞ！？
「話って？」
「あ〜…ええと、そうだな…」
「もしかして園田村で言ってたお礼の件？」
「え？」
「言ったでしょ、忍術学園に帰ったらお礼をするって。何がいいか考えてくれた？」
あれは俺がお礼の内容を考えて良かったのか。てっきりAから何か言われると思っていて、そのうち忘れてしまっていた。
「いや、まだ…ごめんな。でも俺本当に大したことしてないからやっぱり申し訳ないなぁ」
すると三治郎がこっそり俺のふくらはぎを小突いた。Aの厚意を素直に享受しろ、ということだろう。
「うーん、お礼の一つにでもなればと思って生物小屋に来てたけど、私じゃ手伝えることなさそうだしね」
「えっ！？」
確かにAはいつも“何か手伝うことある？”と俺に訊いていた。通ってくれるだけで十分嬉しかったから“手伝いは大丈夫だから大好きなオカ美でも眺めてなよ”なんて言ってて…。そういう事！？
「それじゃ、また私の出来そうなこと考えておいてね！」
「あっ、待っ…」
くるっと身を翻して小屋を後にするAの後ろ姿を眺めていると、足元から溜息が。
「はあ。先輩がこんなに奥手だったなんてなぁ」
「め、面目ない」
内容はさておき、後輩を落胆させてしまった。
三治郎の為という訳ではないが、ちょっと本気で行動に移した方が良さそうだ。
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
