其の参(半助視点) ページ39
「竹谷とご実家の都合によるけどね。どちらにせよ、長期休暇の滞在先については早めに竹谷と話をしておきなさい。
……無論、Aがきり丸のアルバイトを手伝いたいと言うならうちに来てもらっても私に拒否する理由は無いが?」
そう。これはきり丸のアルバイトの手伝いの為。決して私が邪な気持ちで言っているものではない……と思う。
「分かりました。八左ヱ門にも聞いてみます」
「うん。あ、それとこちらが本題なんだけど、学園長先生が退屈しのぎにAと話したいとおっしゃっていたよ。きっと美味しいお茶菓子でも出るんじゃないかな?」
「そうなんですか!?ありがとうございます、今から行ってみますね!」
失礼します!と髷が前に垂れるほど勢いよく礼をして小走りで学園長先生の庵の方へ去っていった。
「ごめんね。土井先生はとても素敵な人だと思うよ。でもお忙しい方だし、私とはそんなに接点もなかったんだ…」
先程の言葉が思い出される。先生という立場が邪魔をして生徒の前では行動には移せなかったけれど、もう少し積極的になっていたら結果は変わっていたんだろうか。
(せっかく一緒になってもよいと思える人が現れたのに、惜しい事したかな。
それはそうと、あまりAを困らせないよう、今一度きり丸に言い含めておかねば)
急いできり丸を追うと、いつもの三人組が木陰で休んでいるのが目に入ったが、乱太郎が叫ぶので何事かとまずは身を潜める。
「そりゃ絶対まずいよ!!」
「何がまずいのさ?」
「アルバイトを手伝って欲しいって体でAさんを土井先生のお家へ呼ぶんでしょ?そこできり丸が長屋に着いた途端、実は長期休みの間しんべヱの実家に住み込みで働かせて貰うなんて言ったらAさん怒らない?」
な、何だとぉぉ!?私とAを二人きりで過ごさせる気なのか!?
「あ〜大丈夫!あの人ならきっと『土井先生と屋根の下で二人きり!?どうしよう〜』ってあたふたするだけだから!な?しんべヱ頼むよ〜パパさんにお願いしてくれない!?」
「パパに頼むくらい僕は構わないけどさ、竹谷先輩と土井先生は大丈夫なの?」
「それくらいしないと土井先生行動できないから!竹谷先輩にはうまいこと誤魔化しとくし!なあいいだろ?」
「良くないッ!!」
それ以上は聞いていられず、茂みから飛び出した。
「「「ほげげ〜!?!?土井先生!!!」」」
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります!! (2月4日 16時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください!!!! (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月29日 15時