其の弐 ページ38
「うん？土井先生が優しくて面倒見が良いのは私も知ってるよ？」
「Aさんは竹谷先輩のどんなところが好きなんですか？」
「んー、そうだなぁ。包容力のあるところとか、いざという時に助けてくれるところとか」
「それ全部土井先生も当てはまります！土井先生じゃダメだったんすか！？」
それって、お付き合いする相手として、ってことだよね？きり丸君にとって土井先生は恩人で保護者みたいな存在だから、人一倍土井先生の幸せを願っているんだな…。
きり丸君の真剣な表情を見ているのは心苦しい。
「ごめんね。土井先生はとても素敵な人だと思うよ。でもお忙しい方だし、私とはそんなに接点もなかったんだ…」
園田村にて異性として気になる、というような一言を言われたのみだし…。
「次の長期休み、土井先生のお家にご厄介になるよ。その時たくさんアルバイトと家事のお手伝いするからね」
その会話のどこに反応したのかまでは分からないけれど、半分怒ったような顔をしていたのがいくらか和らいだ。
「よし、今はそれで手を打ちましょう。竹谷先輩と恋仲って言ってもその先の話はまだまだでしょう？おれは諦めませんからね！冬休み、土井先生に惚れさせてみせますから！」
人差し指をこちらにビシ！と向けて宣言すると、どこかへ走り去ってしまった。
冬休みの滞在先については他から漏れる前に八左ヱ門には話しておこう。
「ハァ、全くあいつは仕方がないな…」
木の上から溜息混じりの声が聞こえて反射的に見上げると、なんとご本人、頭を抱えた土井先生がいらした。
「い……いつからいらしたんでしょう…！？」
すると土井先生は音もなく私の隣へ降りてきた。
いつから居たって、きり丸君の最後の言葉を聞かれているのだから気まずいこと極まりないのだが。
「アルバイト手伝ってくれませんか？の辺りかな」
うーん、めちゃくちゃ冒頭だった…。
「ごめんな、気を遣わせて。私ももう切り替えているし、きり丸にも諦めろとは話したんだが…」
「いえ、私は別に…！」
「竹谷が気にするだろうから冬休みはこちらへ来るのはやめておいた方がいい。また団蔵や虎若の所へ身を寄せるのがいいか……いやしかし団蔵のところには清八さんが居るし、虎若のところは照星さんが居るからそれもなぁ…。となると竹谷の実家が一番いいだろうけど」
「は、八左ヱ門の実家ですか！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
