きり丸の本音の段 ページ37
「あー！Aさん見っけー！」
秋晴れの気持ちの良い昼下がり、大木に凭れる私を元気な声で呼ぶのはきり丸君だ。彼は駆け寄って来ると、キラキラした瞳で手揉みをしている。何か頼み事かな？
「あのぉ〜、お願いがあるんですけどぉ〜、またアルバイト手伝って貰えませんかぁ！？」
「いいよ！いつ行く？」
「最近委員会が立て込んでいていつ行けるかはまだちょっと分からないんすよ〜。なので急に花売りとかお願いするかもしれないんすけど大丈夫っすか？」
「うん、暇人だからいつでも行くよー！」
前回花売りのバイトを手伝った時に敵方忍者にうっかりついて行きそうになって、私にアルバイトを手伝わせたことを少なからず気にしていたみたいだったという話を土井先生から聞いていたから、きり丸君が素直にアルバイトに誘ってくれたことに安堵した。
「あ…でもAさんがめかし込んで花売るなんて、竹谷先輩嫌がりますよね？」
「そうかな？それなら八左ヱ門にも女装させて連れて行こうよ！」
「それいいっすねぇ！そうしましょう！」
確認もせず勝手なこと言っちゃったかな。八左ヱ門が嫌がればきり丸君と二人で行けばいいか！
「ところで、今そんなに図書委員会は忙しいの？」
「ええ。以前園田村で乙名の手潟潔斎さんから本を譲り受けたの覚えてます？あれを図書室に置くには校閲が必要なんですが、それを中在家先輩が一人で担っておられるので、先輩には本に目を通すことに専念して頂いて、他の四人で当番を回してるんです」
「へー。たくさん抱えてたもんね」
「でもまだ一冊もこっちに回って来ないんす。校閲終えた本から少しずつ回してくれたらおれ達も後が楽なのに。中在家先輩ってば一気に持って来られるおつもりなのかなー」
新しく入ってきた本は分類したり、目録に登録したり、貸出票を作ったり、本棚を整理して置く場所を確保したりと色々やることがあるのだそう。
長次さん、実は物語に夢中になってるだけだったりして。そうだったら可愛いな！
「その時は手伝いに行くから呼んでね！」
「分かりました！約束ですよ！破ったら冬休み毎日アルバイトの刑ですからね。いくら竹谷先輩と恋仲でも、土井先生の家に引きずってでも連れて行きますから…」
突然、きり丸君の元気がなくなった。
「ど、どうしたの？」
「そりゃあ、竹谷先輩はいい先輩ですよ。でも面倒見の良さや優しさは土井先生が一番です！おれが一番よく知ってます！」
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
