其の陸（八左ヱ門視点） ページ34
そっか。そうだよな。どうしてだかAが俺に触れたいと思っている可能性なんて一つも考えなかった。いつの間にか決めつけてたんだ。
「ありがとう、勘右衛門。お前のお陰で最も大事なことに気付けた」
「ほんと、世話が焼けるんだから。さ、Aとかませ役のところへ戻ろう」
兵助がかませ役？俺が勘右衛門の話を理解出来なかった場合に備えて俺を嫉妬させる為にわざわざ置いてきたって言うのか？示し合わせた様子もないし、勘右衛門が咄嗟に判断したのか。抜かりないなあ。
戸に手を掛けた時、勘右衛門はもう一度俺の方を向いた。
「いい？俺が二人の仲に物申すのはこれが最初で最後だからな」
「これ以上ない助言だよ。お前みたいな最高の友達を持てて俺は幸せだ」
「これでしくじったらAのこと奪いに行くからな！上手くやれよ！据え膳食わぬは男の恥、ってね！」
勝手に置いてきたのはこちらなのに悪いけど、付き合ってからAが他の男に対してどんなやり取りをしているのかほんの少しは気になってたので、気配を消して様子を窺うことにしてみた。
「ねえA！君は八左ヱ門と付き合ってしまったけど、以前美味しいって言ってくれた豆腐を振る舞うくらいのことはこれからもしてもいい？」
「もちろん！兵助の杏仁豆腐、美味しかったなぁ〜」
「あ、ありがとう！！」
兵助がAの手を取った。俺がずっと我慢してきたことをさらっとしてのけた兵助にいとも簡単に嫉妬して、頭の隅で勘右衛門は凄い奴だと感心した。
俺はすかさずAと兵助の手首を掴んで引き離した。そしてしっかりと兵助の目を見据えて言う。
「そん時は俺も呼べよ！」
「え？八左ヱ門も食べてくれるのかい！？嬉しいなぁ、また誘うよ」
「A、邪魔してごめんな！それじゃあおやすみ！」
「ううん、二人ともおやすみ〜」
勘右衛門が兵助を引っ張っていった。あれだけじゃAが普段どういう態度を取っているかまでは分からない。けど恐らくは今までと変わらないんじゃないかという結論に至った。
「八左ヱ門？」
Aが俺の顔と未だ離さないAの手首を交互に見て不思議がる。
「ちょっと場所を移動しないか？」
「いいけど、どこに？」
「……二人きりになれるとこ」
するとAは頰を染めて頷いた。都合よく見ているだけかもしれないが、その瞳は期待に輝いたように見えた。
「うん…！」
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
