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「あああああ……あああ……」
「Aさんんんんん！！！」
そうしてやって来た食堂は二人しか居なかったのだが。
私が来るなり三木が右腕に、守一郎が左腕に、懇願するような顔で纏わりついてきたのだ。
「ど、どうしたの二人共！？」
「こっ、こんな事、訊きたくないんですけどッ！！」
「恋人が出来たって、本当ですか！？！？」
「えっと、本当──」
「ああああ"あ"あ"ダメだああ！！私の両耳が返答を聞くことを拒絶しているううう！！！」
私の言葉は三木の叫びにかき消された。
「静かにしてくれ三木ヱ門！！Aさんが何か言ったの聞こえなかっただろ！！」
「いつも馬鹿でかい声で叫んでるお前にだけは言われたくないぞ守一郎ぉぉぉ！！」
ちょ、煩すぎて耳キーンなるわ！！
耳を塞ごうにも意外と筋肉質な二人に掴まれているような状況では不可能。
しかし突然、耳がふわっと温かいものに包まれて静かになった。
誰かに背後から耳を塞がれたらしいが、人物を確認しようと振り返ろうとすると力が入り、首が回せない。
眼前の三木と守一郎は尚も私の腕を掴みながらその人物の顔を見てはっとした顔で動きを止めた。そして三木が何か発言し、数秒の沈黙の後、アワアワしたりガッカリしたり、それを守一郎が慰めたりしている。
(耳を塞いでいる手がとても温かい。一体誰なんだろう…？)
私の意識が耳を塞ぐ手に集中したその時、腕を掴んでいた三木の手が離れたかと思うと、まるで幼児のように泣き出してしまった。
何が話されているのか分からないから、私はただ黙って三木の肩をさすってあげることしか出来なかった。
其の弐 ページ26
伊作君の小袖を脱いで丁寧に畳む。
そして小袖を入れた引き出しを開け、奥にしまってあった一枚を取り出す。
「これ着るの久しぶりだなぁ」
三郎や利吉さんから酷評を得た黄色の小袖。八左ヱ門と初めて町へ行った時に着ていたもの。似合っていないのは自覚しているけれど、今日はこの小袖の気分なのだ。
台風の目は抜けてしまったようで、外はまた急に雨風が激しくなった。
(さて、何をして過ごそうか)
嵐が来ると食堂の時間外でも暇を持て余した人が集まって談話室のようになると聞いていたので、食堂へ向かうことにする。
さっきはしょんぼりした虎若君しか居なかったけれど、賑やかになっているといいな。
髪を下の方で結い直し、伊作君の小袖を部屋の前に置いて食堂へ向かった。
「あああああ……あああ……」
「Aさんんんんん！！！」
そうしてやって来た食堂は二人しか居なかったのだが。
私が来るなり三木が右腕に、守一郎が左腕に、懇願するような顔で纏わりついてきたのだ。
「ど、どうしたの二人共！？」
「こっ、こんな事、訊きたくないんですけどッ！！」
「恋人が出来たって、本当ですか！？！？」
「えっと、本当──」
「ああああ"あ"あ"ダメだああ！！私の両耳が返答を聞くことを拒絶しているううう！！！」
私の言葉は三木の叫びにかき消された。
「静かにしてくれ三木ヱ門！！Aさんが何か言ったの聞こえなかっただろ！！」
「いつも馬鹿でかい声で叫んでるお前にだけは言われたくないぞ守一郎ぉぉぉ！！」
ちょ、煩すぎて耳キーンなるわ！！
耳を塞ごうにも意外と筋肉質な二人に掴まれているような状況では不可能。
しかし突然、耳がふわっと温かいものに包まれて静かになった。
誰かに背後から耳を塞がれたらしいが、人物を確認しようと振り返ろうとすると力が入り、首が回せない。
眼前の三木と守一郎は尚も私の腕を掴みながらその人物の顔を見てはっとした顔で動きを止めた。そして三木が何か発言し、数秒の沈黙の後、アワアワしたりガッカリしたり、それを守一郎が慰めたりしている。
(耳を塞いでいる手がとても温かい。一体誰なんだろう…？)
私の意識が耳を塞ぐ手に集中したその時、腕を掴んでいた三木の手が離れたかと思うと、まるで幼児のように泣き出してしまった。
何が話されているのか分からないから、私はただ黙って三木の肩をさすってあげることしか出来なかった。
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
