其の参(八左ヱ門視点) ページ17
「こ、恋仲……」
その言葉を最後にしばらく黙り込んでしまったA。
好いている者同士なら当然恋仲になれると思っていた俺、撃沈寸前……。
「い、嫌なら全然!!このままでいよう!!」
断られるならせめて今まで通り友達のまま、気まずい思いをすることなく過ごしたい。
「知っての通り私は未来人で、いつ消えてしまうか分からない人間だけど、八左ヱ門はそれでも恋仲になりたいって思う?」
「うん。俺の気持ちはAが何者であっても変わらない。Aがこの時代に居続ける限り、一番近くに居たいと思ってる」
俺の揺るぎない気持ちが伝わって欲しい一心で真っ直ぐにAを見つめる。
するとAははにかんで少し頭を下げた。
「私も同じ気持ちです。宜しくお願いします」
Aが。
忍たま間で密かに争奪戦が繰り広げられているAが。
あの利吉さんや照星さんのような腕のあるプロ忍をも虜にしてしまうAが。
俺と同じ気持ちだって……!?
「……ほ、本当に!?冗談じゃない!?」
「もちろん、こんなこと冗談で言わないよ」
「色んな人に言い寄られてたよな!?俺でいいの…!?」
「……は、八左ヱ門がいい、です」
「ンン゛ッ……!」
恥じらいながら答える姿が尊すぎる……!!
“八左ヱ門がいいです”のたった十一文字の破壊力といったらもう。思わず取り乱しそうになった。
「ちょっと俺の恋人が可愛過ぎてしんどい……Aの顔見てられない……」
「そっ、そういうのは心の中だけで思っておいてよ」
「ごめんごめん、Aは照れ屋だもんな!そういうところも可愛くてつい反応見たさに言ってしまったよ……って、こういう発言がダメなんだな?」
「ダメではないよ…嬉しさと恥ずかしさでどうしていいか分かんなくなるだけ」
困ったように眉を下げて言うA。もっと言って困らせたくなってしまうけど、これくらいにしておこう。
「約束する。これからは何よりもAの幸せを第一に考えていく」
「だったら私は八左ヱ門の気持ちを最優先に生きていくよ」
「自分が幸せになる事だけ考えていればいいよ」
「私の幸せは八左ヱ門が保証してくれるでしょ?」
「はは、そうだったな」
そっと抱き寄せる。今までは一応“婚前の女子”として極力Aの身体に触れるのを我慢してきたつもりだ。しかしこれからは恋仲だからいつだって触れられる。もちろん、Aの許してくれる範囲でだけど。
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります!! (2月4日 16時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください!!!! (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月29日 15時