其の弐(八左ヱ門視点) ページ12
「い、いや、伊作君とお付き合いしてるなんて一言も言ってないからね?それに八左ヱ門とはそういう関係じゃないし!ねえ八左ヱ門!?」
「ウン…」
頼むから言わせないでくれっ!!
「でも今、“八左ヱ門大好き”と発言しましたよね?」
「八左ヱ門のことは優しいし大好きだけど…」
嬉しいけど、そんなさらっと言えてしまうということは、俺の期待している好きではないんだよな。
「諦めろよ左近、善法寺伊作先輩は脈なしだったってことだろ?」
それまで黙っていた三郎次が鼻でフフン、と笑うように発言し、左近はあからさまに気分を損ねたようだ。
「んなっ!そんなの分からないだろ?!」
委員会対抗戦みたいになってるの、本当だったんだ…。だとしたら三郎次は兵助を応援しているのか?
「Aさん、食べながら聞いて下さい。実は
「えっ、舳丸さんから?」
舳丸さんといえば兵庫水軍に属する水練の達人だ。前にお会いした時は口数が少なくて物静かな印象だったけど、そんな人がAに一体何の言伝を?
「はい。次の連休の二日目、休みを取るので共に町へ出掛けませんか、と」
「あ〜…その日は照星さんに町へ誘われてて…」
「そうですか。それは残念です」
え、この声はまさか──…
なんと、食堂のおばちゃんの横に舳丸さんがいるではないか!?
「「みっ、舳丸さん!?」」
「お久しぶりです、Aさん」
「ごめんねぇAちゃん。舳丸さんがね、どうしてもAちゃんの蛸を食べる様子を陰から見たいって言うもんだから…」
「無理を言って匿って貰っていました」
(おいおい、いい大人がそこまでするか!?)
舳丸さんはこちらまで歩いて来ると、Aの動きの止まった手から箸を取り上げ、小鉢の蛸をAの口へ入れた。
「それでは連休初日はどうですか?二日連続の町歩きですから別日にしましょうか」
「いえ、初日なら大丈夫ですが…」
口元を手のひらで隠しながら話す。
「ありがとうございます。蛸の味はいかがですか」
「蛸は最ッ高に美味しいです!!!」
Aが親指を立てると、舳丸さんはフッと微笑んだ。この人も笑ったりするんだ…。
って、そんなことはどうだっていいんだよ。またAのことを狙う男がAとの約束を取り付けてんだ、俺だってうかうかしてられないぞ。
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります!! (2月4日 16時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください!!!! (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月29日 15時