其の弍 ※微裏注意 ページ9
「……、分かりました。雑渡昆奈門は私の布団に寝転がると、私の腰を捕まえて布団に引き摺り込みました。後は胸を触ったり、口に指を入れられたり…です」
男性警官に痴漢の被害を報告するかのような羞恥が襲う。
「…こんな風に、ですか」
(え…!?)
背後から清八さんの腕が回った。落ち着け、これくらいの密着なら馬上で経験した。
「そうですね…」
「そこから、胸…」
骨盤の上に置かれていた手が、ゆるゆると遡上する。
私は思わずその手を掴んだ。
「待っ…、ちょ、ちょっとどうしたんですか?」
清八さんは堰を切ったようにがばりと起き上がると、私の上に跨った。
「んぐっ!?」
口内に何かが侵入してきた。それが清八さんの指先であることにはすぐ気が付いた。
「こんなはしたない事を奴はAさんにしたって言うんですか」
「んはっ、
手首を持って指を引っこ抜く。するとまた何か、柔らかいもので塞がれた。清八さんの唇だ。
胸板を押し返そうとしても、私の力ではびくともしない。それどころか、接吻が一層深くなった。
酸素を求めて口を開くと、すかさず彼の舌が隙間を埋めるように侵入し、口内を蹂躙する。
「んぁ、っは、はぁ…」
私の喘ぎと、清八さんの荒い息遣い、そして水音が静かな夜に響き渡る。
酸欠で頭が回らなくなってきて、いっそこのまま無抵抗で流れに身を任せようかと思い始めた頃、シューという異音がした後、破裂音と共に煙が家の中に充満した。
「うわッ!? ゲホッ ガハッ」
清八さんと私はすぐ外に出た。中の煙は戸を開けておくと数分でほとんど排煙された。
「な、何だったんだ…!?」
「
「そうですか…。
あの、さっきはすみません…!!私どうかしていました…」
「いえ…。どうしてあんな事を?」
「……嫉妬……ですかね。恥ずかしい」
「今回ばかりは雑渡昆奈門に救われました」
「えっ、ではこれはあの男が!?」
「恐らく。煙幕を張った割に、今すぐ私を連れ去る気はないようです。彼は存外悪い人間ではないのかもしれません」
「はい!?連れ去りしようとする時点で悪ですよ!!」
「確かにそうですけど、同意なく組み敷くのもダメですよ…!?」
「…申し訳ありません…!!!」
羞恥心が後からやって来て、私達は暫く目を合わせられなかった。
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年10月11日 16時