其の弐（虎若視点） ページ42
清八さんとAさんってそういう関係だったのか…！？
竹谷先輩とAさんがいい感じに見えたのは僕の勘違いだったのかな…？
ふと隣の照星さんを見ると、二人のやり取りを腕を組んでじっと真顔で見つめていた。
「あ、あの、照星さん。Aさんと清八さんって…こ、恋仲…？なんですか？」
照星さんにしか聞こえない声量で訊ねてみた。照星さんはAさんとずっと一緒にいたからそういう話もしているかもしれない。
「清八君とは仲の良い友達、と言っていたが」
「そ、そうなんですね…」
「何だ、二人は恋仲だったのか！？」
父ちゃんが僕の気になっていたことを質問をした。
「ちっ違います違います！！全然！！」
Aさんは大慌てで否定をした。
「そうなのか？馬借の君」
「ああ、はい。私が一方的に想いを寄せているって感じです」
ええっ！？今さらっととんでもない事を言ってのけたよね…！？
「清八さん！？どうして言っちゃうんですか！？」
「言ってはいけませんでしたか？」
「いや、そうじゃないですけど…もう！行きましょう！」
二人が馬に乗ると、照星さんは徐に頭巾を外し、Aさんの前に立った。
どうしてだろう、意味もなく外すことなんてないのに…凄く珍しい。僕だって一度くらいしか見たことない。
「照星さん！どうして頭巾を…」
「どうしてって、君は私が頭巾を外した姿が好きなのだろう？」
清八さんの眉がピクリと動いて硬直した。
「照星さんまで何を…！？」
「言っていたじゃないか。Aが二人きりで話したいと言ったあの日、私のこの後毛が好きだと」
「何？事実か！？やはり二人はそういう関係にあったのだな！？黙っているなんて水臭いではないか照星殿！」
「私に恋仲なんていません！！誤解を招くような言い方しないで下さいっ！！皆さん虎若君の前ですよ！？分かってます！？」
いやあ、僕これ聞いてていいのかな…。
と言うか、これって照星さんもAさんの事を…ってことだよね…！？
個人的には照星さんか生物委員会の竹谷先輩を応援したいけど…。
「清八君、その脚の傷は山賊にやられたのかね？」
「いいえ、別件ですよ。あの時は助けて頂いてありがとうございました。すごく遠くにいらしたから全然気付きませんでしたよ」
「火縄には火縄の間合いというものがあるのでね」
なんか言葉に棘が…。僕には二人の間に火花が散っているように見えるよぉ…！
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年10月11日 16時
