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其の弍(清八視点) ページ13

「小袖似合ってますね!…ああ、私の事は気にしないで下さい。別に男が褌姿見られたって何ともありませんから〜」


「あはは、そのようで…」


けれどAさんは少し顔を赤らめてフイと視線を外してしまった。

坑道の天井や側壁は崩れないように木で支保工(しほこう)がなされていて、その剥がれかけた板に二人分の小袖を引っ掛けて干した。

コレステロールの鞍を外して、背に宛てがっていた筵を地面に敷く。多少濡れてはいるが、地べたに座るよりはいい。


「Aさん、来て下さい」


「え!?来てって、え?は!?」


筵に胡座(あぐら)をかいて両手を広げていたらAさんが来るどころか一歩下がった。


「立ちっぱなしで待つ訳にもいきません。筵は一人分の大きさしかないので、私の脚の上に座って下さい」


「そんな事出来る訳ありません!!」


「どうか気にしないで、どうぞ」


「もし、清八さんと別のお客さんがこの状況に陥ったとして、同じことします!?」


「いえ…。お客さんだけ筵に座らせますかね」


「そうですよね。私は疲れていませんからどうぞ清八さん座っていて下さい」


Aさんのそういう遠慮がちなところは素敵だけど、素直に甘えてくれた方が嬉しいんだけどな。


「じゃあ、私が肌寒いからくっついて暖まりたいと言ったらどうしますか?」


「…寒いんですか?」


「寒いですね〜。風邪引いたら佐武村からの帰り道で倒れてしまうかもしれませんね〜」


「…!! 失礼します…」


観念して前を向いて私の脚の中に収まったAさん。それだけじゃなく、身体をひねってこちらを向くと、背中に手を回して抱き締められた。


「ッ!?」


「…さ、寒いんですよね?くっつきたいんですよね?」


「…はい。寒いしくっつきたいです」


「…清八さんが一人の時に倒れられては、困りますから…」


「嬉しいです…!」


ぎゅっと抱き締め返した。恥ずかしさで居た堪れなくなったのか、私の肩口に顔を埋めた。
その瞬間、私はどうしようもなくAさんへの恋心を自覚してしまった。


「……私より清八さんの方が断然温かいんですけど。本当に寒いんですか?」


「Aさんと触れ合っているから火照ってきたんですよ」


「ではもう離れても大丈夫ですね?」


「そんな意地悪言わないで下さい〜」


「意地悪じゃ……あっ、見て下さい!」


今しばらくこのままでと思ったが、間が悪く雨が止んだようだった。

山賊現るの段(清八視点)→←廃坑道の下で…の段



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設定タグ:忍たま , 照星 , 清八   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年10月11日 16時

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