其の参 ページ8
とても気まずい……。
浜君に唐突に思いを告げられ、断りかけたのも気まずいし、それを第三者(三木)に見られていたのも気まずいし、なぜか三木は私がこの部屋に来た時よりも数段不機嫌な様子で気まずい。気まずさのフルコンボの中、彼らと寝なければいけない。
喜八郎が二人からなるべく布団を離せと言っていた。私の寝相で怒らせるかもしれないからと。特に三木はこれ以上怒らせたくない。怒らせたまま夏休みに入ったらそれこそ気まずさの極み。
まるでジェンガでもするように、布団をそろそろと真ん中から引き抜いてゆくと。
「「何しているんですか」」
「ヒェ」
眉を下げ、子犬のようにこちらを見る浜君と、いつもより1オクターブほど低い声で睨め付ける三木に心の中で泣いた。
「あの〜、私とてつもなく寝相悪いんで…二人に迷惑かけたくないので端っこの方で…」
「そんなの大丈夫です!!」
「構いません」
私が遠慮したいんですけど〜〜!
「でも喜八郎が二人は眠りを妨げると怒るからそうした方がいいよって…」
「はあ?」
「ごめんなさい何でもないです」
私はいつも横向き寝なので左を向くと、顔を赤らめた浜君と目が合う。なぜ顔色まで分かるかと言うと、誰も灯りを消していないから。
「Aさん!俺のことを浜君って呼ぶのはどうしてですか!?」
なぜこの寝ようとしているタイミングで…。
「守一郎君より呼びやすそうだったからかな」
「それじゃあ守一郎って呼んで下さい!どうですか!?」
「うん、別にいいんじゃない…?」
「ハァ」
あ〜〜〜背中に殺気を感じるんですが!
これ以上守一郎と喋るな、という無言の圧が…
慌てて天井を向く。
このまま寝たふりをしておこうかな、とも思ったが、守一郎とだけ喋って三木と喋らないのは角が立つかなとか、やはりこのままだと気まずいなとか色々考えて、右へ寝返りを打つ。
「三木」
「何ですか」
「機嫌直して欲しいんだけど、君の機嫌はどうしたら直るだろう?」
「別に機嫌悪くありませんよ」
思いきり不貞腐れた顔で言われてもなぁ。いつものアイドルな三木はどこ行ったんだ。
「私ね、明日から兵庫水軍に行くんだ。海賊っていうくらいだから軍船みたいなのがあるんじゃないかなって思うんだけど、船用の石火矢みたいなのもあるのかな?」
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時