町へのお使いの段 ページ49
「ボーっとしてどうしたんですか？さっきから呼んでたんですけど」
「本当ですか！？ちょっと考え事していてすみません！何かご用事でしたか？」
「お頭が昼餉を食べたら町へ買い出しのお使いに行って欲しいと言っていましたがご都合いかがですか？」
「はい！暇人なので是非行きます！」
「…それで…お供が私なんですが、大丈夫ですか？」
「全然大丈夫ですけど？どうしてですか？」
「私、もう十九なのにカスメ御免になったのも遅くて、船酔いもするし、頼りないかなと…」
「何言ってるんですか！町へ行くのに船や海のことは関係ありませんよ！陸酔いしないならとっても頼りになります！」
「本当ですか…！？」
白南風丸さんは照れたようにえへへ、と頰を掻いた。
◆
昼餉に蛸飯を食べ、第三協栄丸さんから買い物メモと代金を預かり、私達は町へと向かった。
「町まではどのくらいあるのですか？」
「そんなに遠くありませんよ。四半刻あれば行って帰って来れるくらいです」
「へえ、それは便利ですね！」
「はい。…ところで、先程考え事をされてたって言っていましたけど、何かお悩み事でもあるんですか？私で良かったら話を聞きますよ」
「いえ。悩み事というほどでは…」
まさか私が未来人で、タソガレドキに狙われているなんて言える訳ないし。
「…そうですよね、船酔いで倒れるような知り合ったばかりの男に悩みの相談なんてできませんよね！すみません！」
空元気で笑う白南風丸さん。そうじゃないってどうやったら分かって貰えるんだろう？
「そうではなくて、本当に悩みではないんです。
タソガレドキとオーマガトキの戦の件は知っていますか？」
「ええ、数日前に開戦したんですよね」
「はい。それでタソガレドキとオーマガトキ、どちらが勝つのかなと考えていただけなんです」
「どうしてそんな事を…。もしかしてAさん、どちらかの領民なのですか！？」
「ええっと…」
「そうなんですね！？どちらの領民なのですか！？」
「領民とは違いますが…強いて言えばタソガレドキ…ですかね」
「気休めにしかならないと思いますが、噂ではタソガレドキの方が有利という話ですから！どうかお気を落とさずに…！」
「はは…そうなんですか。ありがとうございます」
タソガレドキが有利、か。少しでも期待した私が悪かった。
私はその日を静かに待つほかないのだろうか──。
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
