洗濯のお手伝いの段 ページ41
海賊さんの洗濯物は大量だ。さすがに山田先生お一人の溜め込んだ洗濯物の量とは比較にならない。これは洗い甲斐があるぞ……!
小袖の袖が邪魔なので
「……ん?」
今、誰かこちらを見ていたような気がしたが、振り返っても誰もいない。
「A〜」
「わあ!?」
視線を戻すと、洗濯桶を挟んで目の前に網問がしゃがんでいた。
「びっくりした〜!網問の気配だったのかぁ。どしたの?」
「Aは小さくて届かないから手伝いがいるでしょ?お頭に言って洗濯当番に回してもらった」
「踏み台あれば届くよ」
網問は細く長い指で額にデコピンを食らわせてきた。
「痛っ!?」
「手伝うって言われたら、素直にありがとうで良いんだよ。そもそも一人でやる量じゃないから」
「…ふふ、ありがとう!」
「さ、二人で洗うよ!」
「うん!」
網問が手伝いに来てくれたら、洗濯が途端に楽しくなったから不思議だ。
「何笑ってるの?」
「内緒〜」
「えー、ケチー、教えてよー」
「別に大したことじゃないよ。網問が来てくれたから楽しいなーって思っただけ」
一瞬だけポカンとして、すぐにニカッと満面の笑みになった。そして洗濯桶に突っ込んでいた手でバシン!と背中を叩かれた。
「素直でよろしい!!」
「んぎゃ!背中めっちゃ濡れたんだけど!?」
「大丈夫すぐ乾くって」
お返しとして、同じことをしてやると、めちゃくちゃ嫌そうな顔をした。
「うわ!!そっちの桶は兄貴達の褌洗った水じゃん!!」
「へへへっ、お返しだ!」
「ばっちいなぁもう」
網問が口をへの字に曲げて不満を表すので、両手で頬を潰してみると、口からぷしゅうと音を立てて空気が抜けた。
「あっはは!リスの頬袋だ〜」
すると網問は真顔で私の手首を掴む。
「……あ、怒った?ごめんね…?」
「朝の続き、していいの?」
「………ダメですすみません」
「年頃の男を煽ったAが悪いんだからね」
「煽ったつもり全くないんですけど!?ダメって言ってるよね!?え、ちょっ、待っ」
「待てない」
襟をぐいと引っ張り、肩に噛み付いた。
「いっ! 網問…っ」
「ねえ、あんまり煽らないで…」
「煽ってないってば!」
「A、気持ちいい?」
「痛いよ!!」
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時