其の弍(白南風丸視点) ページ36
はっ!まさか舳丸の兄貴が風呂に入ろうとしているのか!?
海から上がったばかりだし、あり得る…!
慌てて脱衣所へと回った。
「舳丸の兄貴!ちょっと待って下さい!!」
俺が脱衣所に繋がる戸を開けるのと、舳丸の兄貴が全裸で浴室の戸を開けるのと、浴室にいるAさんが戸の開く音でこちらへ振り返るのがほぼ同時だった。そして舳丸の兄貴は矢のような速さで戸を閉めた。
み……
見えてしまった………ほんの一瞬だったけど……
戸を閉めた後、兄貴がこちらに背を向けたまま微動だにしないのでそっと顔を覗き込むと、目を泳がせてめちゃくちゃ焦っていた。
「兄貴、大丈夫ですか?」
「ど、どうしたらいい…」
「取り敢えず服着て出ましょう!このままではAさんも出て来れませんし」
「わ、分かった」
焦っているからか、服を着るのもとんでもなく早かった。
忍者の早着替えかと思った。そういえば兄貴は忍術学園の先生に忍者に向いていると言われたそうだ。うん、今はどうだっていい。
「Aさん、すみません…!私達外に出てますので!」
「はい…」
しばらくしてAさんは脱衣所から出て来た。昨日とは打って変わって藍色の丈の長い小袖を着ていらっしゃる。
「お風呂、お先に頂きました……」
「っ! はい……その、申し訳ありません!」
兄貴が頭を下げて陳謝する。俺もそこに便乗して頭を下げる。
「私が兄貴に声を掛けられた時、Aさんが入っていることを伝えていればこんな事には…!すみません!」
「白南風丸は悪くありません。私の確認不足です。
Aさんの裸体を見た上、自分の裸体も見せつけている分、覗きよりもたちが悪いです。どうか気が済むまで殴って下さい」
「いえいえ!!こちらもお見苦しいものを見せてしまいましたから、おあいこということで…」
「見苦しいなど万に一つもありません。とても白くて滑らかで……」
「わー!!忘れて下さい!!!」
「きっと風呂に入る度に思い出してしまいます。ですから、責任を取らせて下さい。きっとあなたを大切にします」
「ちょ、ちょっと兄貴、何言ってるんです!?」
「何って、求婚の言葉だが。まだ途中だから口を挟むな。
Aさん、不束者ですが私と夫婦になって下さい」
唐突な求婚にAさんは全く動じることはなく、何なら少し引いているように見えた。
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時