【忍たま】君の想いは花筏【共通話６】

其の参 ページ20

「いえ本当ですよ！人間死の淵に立った時、如来様が望んだ姿形で迎えに来て下さるって、どこかで聞いたんです！だからこんな綺麗な人が迎えに来たんだなって…。
でも俺生きてる。そして美女が介抱してくれたなんて、こんな事あってもいいのか…。いや、いいよな…？」


何だか分からないけれど、頭を抱えて私をべた褒めして下さる白南風丸さん。船酔いの影響でまだ頭が働いておられないのかも。

しかし、本当に八左ヱ門に似ているなぁ。前髪の真ん中あたりが上にピョコっとはねているところとか、ちょっとボサボサとした髷とか。兄弟なんじゃないかって思うくらい。


「よう。こんなところに居たのか」


「あっ、由良四郎(ゆらしろう)の兄貴！」


小屋裏にやって来た恰幅のいい海賊さんは、由良四郎さんというらしい。この人は第三協栄丸さんが私を見て女だと驚いた時に真っ先に駆けつけた海賊さんの一人だ。


「早速コイツが世話になったみたいですまねえな」


「いえ！私の方こそこれからたくさんお世話になりますので！」


「んなこたぁ気にすんなよ！俺達も忍術学園には世話になってるからな、お互い様だ！
白南風丸、動けるようになったら須磨留(すまる)の点検だ！」


「はい！Aさん、介抱ありがとうございました！
お陰ですっかりよくなりました！」


「それは良かったです！」


白南風丸さんは由良四郎さんと共に持ち場へと戻っていった。
私も早速次の仕事を貰いに行かなければ。


「そうかそうか、白南風丸は無事回復したんだな！それじゃあ次は…あそこに干してある俺達の洗濯物を取り込んでくれるか？
ついでに広間で畳んどいてもらえるとありがたい」


「お安い御用です！」


洗濯関係は結構得意なのだ。何たって山田先生の洗濯のアルバイトで慣れているからね！

しかし一つ難点が。物干し縄が忍術学園のものより高い位置にあるのだ。忍術学園では下級生でも使えるようにやや低めに設計されていたようだ。
兵庫水軍ではほとんどの方が大人と呼ばれる年齢なのもあり、しかも男性ばかりなので低くする必要がないのだ。


「よいっ…しょ…」


背伸びをしてやっと褌の結び目に届く状態。そうして一枚ずつ取っていき、抱えきれなくなったら水軍館の広間に置きに行って、再び外へ取り込みに戻る。


「わ！？」


半分くらい終えたところで少し気が緩み、褌が風に攫われてしまった。
海に落ちたら大変なので、慌てて走って追いかける。

攫われた褌の段（網問視点）→←其の弐（白南風丸視点）

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