【忍たま】君の想いは花筏【共通話６】

其の肆 ページ17

「──で、最後、ここが義丸の兄貴の部屋です」


先程、また義丸さんとすれ違って、『荷物は移動したからいつ入ってもらってもいい』と言われていた。


「いいって言われてますし、入ってその荷物置いちゃいましょう」


「はい！」


中は三畳くらいの大きさの板張りで、忍たま長屋のように壁に押し入れと引き出しが一体化した収納が埋め込まれている。


「押し入れがここで、義丸さんのおっしゃっていた引き出しはここですね？」


「そうですね」


少し開けてみると、何やら絵が入っていた。そしてそれが何の絵柄であるか即座に分かり、慌てて閉めた。


「あれ、私物入っていました？」


「入ってましたね…」


「(慌てて閉めるなんて、褌か何かかな？)私が鬼蜘蛛丸の兄貴の部屋に置いて来ますね！」


「あっ！待っ…」


重さんが引き出しを開けて刹那、蛸のように真っ赤になって思いきり閉めた。


「しゅ、春画ってやつ…ですかね？」


「そ、そうみたいですね…。義丸の兄貴、引き出しに隠したことを忘れちゃうなんて…」


そう言って二段目を開けると、二段目にも別の春画が表向きで置いてあった。


「これは…忘れてる訳じゃなくて私に仕掛けた悪戯ですね…！？」


「恐らくそうだと思います…」


なんて人だ！！お陰で私達の間にとんでもなく気まずい空気流れてるよ！！

一段目と二段目の絵を重ね、裏向きにして二段目に入れた。引き出しは一段目しか使わないことにしよう。

義丸さん、次に会ったらきっとニヤニヤしながら『引き出し開けた？』とか聞くんだろうな。そこで私の反応見て面白がるんだ。
だから絶対反応しない！何食わぬ顔で対応しよう！そうすれば『つまんねー』って思って心臓に悪い悪戯もなくなるだろう。

よし！私はあの色気には絶対負けないぞ！！


「重さん、館の案内ありがとうございました」


「どういたしまして！これからどうされますか？夕餉まで時間あるので部屋でお休みになりますか？」


「とんでもないです！第三協栄丸さんに私でも出来そうな仕事を頂きに行こうと思っています」


「そんな！お客人なのに気にしなくていいと思いますよ！」


「客は客でも“招かれざる客”ですから！大した事は出来ませんが、何かしらはしたいんです！！」


「そんな事ないですよ！少なくとも私はAさんが来て下さって、兵庫水軍が賑やかになる気がして嬉しいです！」

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