【忍たま】君の想いは花筏【共通話６】

其の弐 ページ15

「それじゃあAさん、また七月三十一日のお昼頃に来ますね！」


「はい！清八さんありがとうございます！お気を付けて〜！」


清八さんを姿が見えなくなるまで見送り、振り返ると目と鼻の先に海賊さんが立っていて、私は危うく顔をぶつけそうになった。


「わ！？」


「あの優男って、恋人？」


「い、いえ違います！馬借の方です！」


「ふうん？ただの馬借と客には見えなかったけど…。
まあいいか、ひとまず安心したよ」


額の十字傷に泣きぼくろがあるその人は、色気たっぷりに目を細め、口角を上げる。


「一体何に安心なさったんです…？」


「だって、さすがに恋人がいたら手は出しづらいしね？」


エッ！？この人手を出すって言った！？言ったよね！？
いや待てこれは海賊ジョークだ！アウェイな私をひとつ笑わせてやろうって事で放たれた愉快な海賊ジョーク！！


「あはは！お上手ですねー」


ちょっと棒読みになってしまった。海賊さんはずい、と顔を寄せてきたので思わず後退った。


「へえ？俺の口説き文句を冗談扱いされたのは初めてだなァ」


冗談じゃなかったああああ！！


「まさか本気でおっしゃってるとは思わず……気を悪くされましたらすみません…！」


「いや、俄然興味が湧いたなァ。俺に気がない子ほど追っかけたくなるんだよね」


「こらヨシ、そのへんにしてやれ。
私は鬼蜘蛛丸と言います。よろしくお願いします」


蜘蛛柄の小袖着ていらっしゃる〜〜！ス○イダーマンより蜘蛛を主張していらっしゃる〜〜！！蜘蛛嫌いからするとなかなかしんどいです！！


「Aと申します、よろしくお願い致します。
鬼蜘蛛丸さんに、ヨシさん？でよろしいですか？」


「あー、その呼び方は床の上でしか呼ばせないんだよねぇ」


「し、失礼しました！！」


「Aさん真っ赤になってるじゃないか。こいつの名前は義丸っていいます。適当にあしらわないとこの調子じゃ疲弊しますよ」


「ハイ…呼び方義丸さんでいいですかね…」


既にどっと疲れました。まだたぶん十四時くらいなのに。


「ああ、いいよ。俺の部屋に滞在する？小さいけど一人部屋だから」


ヒエ！？この人と同室はしんど過ぎる！！


「いえいえ！そんな悪いので雑魚寝でも何でもしますので！！むしろ雑魚寝を希望します！！」


「そんな全力で拒否するなんて、よっぽど俺に追いかけられたいのかな？いじらしい子猫ちゃんだ」


そう来る！？この人ポジティブ変換の達人なの！？

其の参→←いざ、兵庫水軍！の段

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