其の参 ページ12
「大丈夫ですよ、力を抜いて私に一度身を委ねて下さい」
そ、そんな事おっしゃられましても〜！！
しかしお腹に回った腕が後ろへ凭れさせようと引っ張るので、一旦思考を手放し抵抗をやめた。
すると背中全体で清八さんの上下するリズムが伝わってきて、それに合わせていると馬とも動きが合ってきた。
「そう！お上手ですよ！」
私が安定すると、清八さんはお腹の腕を外し、再び両手で手綱を持ち始めた。
「ありがとうございまガフッ！！！」
「だ、大丈夫ですか！？」
舌、噛みました……！あと一文字だったのに。
そうして早駆けにも慣れてくると、周りの景色を見る余裕も生まれてくる。
連峰が聳え立ち、裾野までが見渡せる。辺りは田んぼや畑も
舗装されていない土の道を、土煙をもうもうと上げながら風を切る。この疾走感が堪らなく気持ちいい。
「小川が見えてきました。少し休憩しましょう」
馬が走るのをやめると、また生温い空気が身体を纏った。
小川の近くには大きな松の木が生えており、その木陰に大きく平たい岩がある。苔などは生えていないので、きっとたくさんの旅人がここに腰を下ろして休憩しているんだろうな、と思う。
「清八さん、お腹空いていますか？出がけに食堂のおばちゃんがおにぎりを持たせてくれたんです」
「え、私もよばれて良いんですか！？」
「もちろんです！何だかこの岩を見ているとお腹空いちゃって」
「分かります、弁当を広げるのにちょうどいい岩ですもんね！」
清八さんは穏やかで、とても感じの良い人だ。きっと馬借のお客さんからも慕われているんだろうなぁ。
「兵庫水軍へはあとどのくらいなんですか？」
「今半分くらい走って来ましたよ」
「えっ、もう半分も…！」
この楽しい乗馬も半分終わってしまったんだなぁ。
「どうしました？浮かない顔をされてますけど…」
「いえ、あと半分で終わってしまうなんて、何だか寂しいなって思いまして…」
「えっ」
「あっ！でもゆっくり走ってもらおうとか微塵も思っていませんから！！清八さんの思う速度で進んで下さい！」
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
