其の弐 ページ11
「少し歩かせてみましょう」
清八さんが手綱を引っ張ると、馬がゆっくり歩きだす。思ったより揺れて、バランスを取るのが大変だ。
「清八、おれは普通に跨がらせた方がいいと思う」
「そうですね…長時間の横向きは疲れますし」
そう言えば団蔵君も清八さんも、裾の短い小袖を着て袴を穿いていない。きっとこれが乗馬に向いた形なのだろう。
「私、裾が短い小袖を持っています。そちらの方がいいですかね？」
「あるんですか！？着替えてきて下さい！」
そう、実は小袖を三枚持っているのだ。今着ている利吉さんに仕立ててもらった瑠璃紺と藍色の片身替りの小袖、それを仕立てる前に着ていた利吉さんのお古の黄色の小袖、そしてもう一枚、利吉さんのお古で薄桃色の小袖があったのだ。
それは小袖というか最早袖がほぼなくてフレンチスリーブで、裾も膝より上だったので恥ずかしくて着られず、しまってあったのだ。
着替えてみると、清八さんのような着丈になってしまってやっぱり恥ずかしい〜〜！
「絶対そっちのがいいです！跨ってみて下さい！」
鞍を持って、今度は一人で乗ってみる。横向きより遥かに楽だ！
「うん、安定していますね。これならすぐ出発できそうです」
「よろしくお願いします！」
「じゃあ清八、Aさんのことしっかり頼んだよ！」
「はい！若旦那もお気を付けて！」
清八さんはひらりと華麗に
私、勝手に清八さんは歩いて馬を先導してくれるものと思っていた。
まさか私の後ろに跨っていくなんて聞いてません！！！
自分だけ乗っていくのもそれはそれで申し訳ないけど！
清八さんの両手はそれぞれ脇腹の横あたりから前に伸びて手綱を握っている。
「慣れてきましたか？」
「エッ！？ど、どうでしょうかねえ！？」
「とても上手に乗りこなしていらっしゃいますよ」
(あっ、この密着具合じゃなく馬の方か…そりゃそうだな)
「駆け足で行きますね。結構揺れますが、身体は馬の揺れに合わせるようにして下さい。あと喋る時は舌を噛みやすいので私の膝を叩いて下さい。減速しますので」
馬は一度いなないてからその速度を上げた。自身の揺れがなかなか馬の揺れと合わせられなくて体勢が崩れる。
「大丈夫ですか？遠慮なく凭れて下さいね！」
清八さんは片手で私の腹部に手を回し、抱き込んだ。私の背は清八さんの逞しい胸板に接触している。
「！？！？！？」
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
