【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ23)

今日:57 hit、昨日:55 hit、合計:27,648 hit

三郎の気持ちの段（雷蔵視点）ページ23

「雷蔵…話がある。図書室を出ろ」

昼休みの図書委員会の活動中、中在家先輩にそう言われた。

「何でしょう？」

「Aの夜間護衛の当番の事だ…」

「確か、今日は僕達の部屋ですよね」

「お前達の部屋は経由しない事となった…。故に繰り上がりで竹谷と斉藤が今日の護衛を務める…」

「ええっ、どうしてですか！？」

「Aがお前達の護衛に貞操の危機を感じていると伊作から聞き、六年生の話し合いで決定した…。雷蔵、何かしたのか…？」

「いえ、僕ではなく三郎ですね…」

「やはりそうか……」

はあ、こうなってしまったか…。
三郎が逆恨みしていないといいけど。

三郎は学級委員長委員会に属していて、六年生は人員不足だかなんだかで所属していないし、委員長というものも存在していないちょっと特殊な委員会だ。
何となく委員会の先輩が直属の後輩の面倒を見るみたいな構図がある忍術学園で、三郎は目を掛けてくれたり叱ってくれる特定の先輩がいないということだ。

ここまで拗らせる前にもっと僕が気をつけておくべきだったなぁ。

昼休みの委員会が終わり、一人で廊下を歩いていると、廊下でちょうどAちゃんと出会した。

彼女が身構える。そりゃそうだ、Aちゃんからは僕が不破雷蔵か鉢屋三郎か分からないだろうから。

「やあ、僕は不破雷蔵だよ」

そう言えば少しは警戒が解かれる。

「本当に雷蔵君？」

「うん。ごめんねややこしくて…」

「ううん」

「あと、三郎が不快な思いをさせてごめんね」

「大丈夫。ただ伊作君に相談して護衛の当番は外してもらうことにしたの。私の勝手で本当にごめんなさい」

「さっき中在家先輩から聞いたよ。僕も今は三郎とAちゃんは距離を置いた方がいいと思う」

「うん。雷蔵君てさ、三郎に瓜二つってくらい似せられてるけど、中身は全然違うね」

「そうだね。……Aちゃん」

「ん？」

「三郎の事、快く思ってなくて当然だ思うけど、あいつも本当は人懐っこくて、友達や後輩思いでいい奴なんだ。Aちゃんの事を嫌ってる訳じゃないと思うから、同室としてそれだけ分かって欲しい」

「……それは、五年の皆が親しくしているのを見ていたら何となく分かるよ。子どもっぽいことしちゃったな」

「いやいや！勝手に痕付けたり指舐めたり、完全に三郎が悪いから！そこは気にしないでね」

でもAちゃんは気にしいなのか、放課後に三郎を探すのだと言う。