其の参(勘右衛門視点) ページ11
「無理矢理したら、たとえお前でもぶん殴るからな!!」
八はそれだけ絞り出すと、長屋を去って行った。
そうだよね、純情だからAを目の前にして肯定も否定もできないよねぇ。
「勘ちゃんちょっといじめ過ぎ。本人の前で否定しづらいでしょ」
「んー?八に否定する気は更々無いだろうけど?」
「あんな八左ヱ門見た事ないよ。大丈夫かな…」
「大丈夫大丈夫!Aと町に行く俺に嫉妬してるだけだし!さ、行こ!」
Aの手を取り、引っ張り気味に正門に行く。小松田さんは俺達が手を繋いだ状態なのに気が付いて、動揺を隠さない。
「ふぇえ!?Aさん浮気ですかぁ!?」
発せられた言葉は俺の思っていたものではなかった。
てっきり「Aさんと尾浜君ってばそんな関係だったの〜?」みたいに茶化されることを想定してた。
小松田さんの反応は、自身あるいはそれ以外の人がAと何かしらあった、という証だ。
「なっ!何の事ですか!」
「だって、この前利吉さんと町に行かれた日、肩を抱かれて帰って来たじゃありませんかぁ」
肩を抱かれて!?…いや、肩を組むのは友情的局面でもよくある事だし、その延長線で?まだ利吉さんの思惑は分からないな。
「利吉さんとは何もありませんから!!」
「ええ〜。僕はてっきりくっついたのかと」
「小松田さんへのドッキリですよ、きっと…あはは」
俺達が一枚の出門票にサインをすると、余白に小さく【手繋ぎ】と書き加えられる。
「やだなぁ小松田さんってば、意外とゴシップ好きですか?」
「ううん。利吉さんがAさんといい感じの人が現れたら今度会った時に教えてくれって。……あ、これ内緒の話だったかなぁ?」
うわ、利吉さんこれガチで狙ってるじゃん!
この人が本気でAを落としに来たらまずい。顔良し・稼ぎ良し・性格良しの三拍子揃ってるもん。
「別に勘ちゃんとはいい感じでも何でもないですよ」
「あ、そうなんですねぇ」
ガーン!そんなハッキリ言わなくても〜!
「ま、人によって感覚は違いますから一応報告はしときますね。それじゃ、気をつけて行ってらっしゃい〜」
小松田さんも仕事自体はお忙しい方だから、さっさと俺達を門の外へ追いやって戸を閉められた。
「小松田さん、変なふうに伝えなきゃいいけど」
「変なふうに伝わったら困る事でもあるの?」
「えっ!?普通困るでしょ!」
うーん。俄然燃えてきたなあ!
絶対今日の街歩きで差をつけてやる!
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玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時