其の参 ページ7
あのいつも朗らかな伊作君がむせび泣いている。
これは只事ではない。お守り袋には綾部さんと伊作君にしか分からない秘密があるんだ。
「取っておいで。そして全てを思い出した後、僕を最低な男だと
「いつだって私を最優先してくれる優しい人を最低なんて言う筈ないでしょ…」
「僕は一見すれば竹谷のように親切だったかもしれないが、動機がまるで違う……僕は自分がAちゃんと居たい一心で動いていたけれど、竹谷はいつもAちゃんの事を第一に考えて動いていた……」
「よく分からないけど、詰ったりなんてしないよ。私は伊作君が大好きだよ。私が竹谷という人とどんな関係にあったかは知らないけど、伊作君が私の中で一番だよ」
伊作君は力無く首を横に振った。
「僕達の中で唯一あの決断を下した竹谷には
そのお守り袋の中身を見たら伊作君との関係が崩れてしまうような気がした。伊作君との関係を壊してしまうくらいなら、お守り袋と竹谷という人の謎には蓋をしておきたい。
しかしそんな私の気持ちを読み取ったのか、綾部さんが私の肩を叩いた。
「当時僕は竹谷先輩の選択を恨みましたが、今思えば英断でした。あなたの身に何が起きていたのか、このタイミングで知っておかないと、後々後悔すると思います」
「でも…」
「俺も何が起きているのか気になる。A、お前が見るか否かは別として、まずは俺に見せてくれないか…？」
「…そういう事なら、持ってきます」
お守り袋を潮江先生に渡す。
かさかさと紙を開く音がして、内容を見てしまわないように目を伏せた。
一分ほど、誰も何も言葉を発しなかった。やがて紙をしまう音がして、お守り袋が無言で返された。
「先生は、このお守り袋の中の意味は分かりましたか」
「多少混乱してはいるが、大体はな……。まさか、こんな展開が待っていようとは」
「私は見るべきだと思いますか」
「さあな……。ただ、俺は見られて良かった。伊作と綾部とこうしてまた会えた事を素直に嬉しく思う」
「七松先輩も居ますよ。職場の先輩なんです」
「そうか、小平太もこの時代に生きているのか…！」
潮江先生は涙ぐんだ。それだけの内容が、この袋の中に──。
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玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
