其の弐（伊作視点） ページ6
「ちょっと何揉めてるの！」
「伊作君聞いてよ！60点合格で59点だったの！それで見直してたら採点ミスがあったから指摘したんだけど揉み消された！」
「採点ミスじゃねえって言ってるだろうが！」
「大人なんですから自分のミスは認めて下さい！！」
「だぁーかぁーらぁ！ミスなんてしてねえ！！」
「ふむ。『日本中世の瀬戸内海で海上の要衝に関所を構えて水先案内人の派遣や海上警護などを行い、海の安全を守った集団を何と言うか？』で正答が村上水軍、そしてAさんの回答が兵庫水軍…」
綾部はいつの間にか僕の間をすり抜け、リビングで答案用紙を眺めていた。
「え、綾部さん！？」
「だ、誰だお前は！」
「おや。僕の事分かりませんか？綾部喜八郎です。まさかAさんの担任が潮江先輩だったとは驚きです」
「という事は俺の後輩か？見覚えがあるようなないような…」
「ご無沙汰してましたから無理もありません。約450年振りでしょうかね」
「ハァ！？」
Aちゃんも文次郎も唖然として綾部を見ている。
「確かに兵庫水軍も大きいですけど、後世に文献が残らなかったんでしょう」
「お前、適当な事を言うな！俺は日本史でとりわけ中世が得意だが兵庫水軍なんて聞いた事もないぞ！」
「潮江先輩が当時の事を覚えておられないなら、この時代に文献が残っていない以上、兵庫水軍が誤答とされるのは仕方のない事ですね。兵庫水軍も大安宅船を有して瀬戸内海の東半分を統治してましたがルイス・フロイスは村上水軍だけしか知らなかったんでしょうねえ」
綾部はAちゃんの隣に座ると、深い溜息をついた。
「忍術学園と同じ。歴史の中に埋もれていった存在だ」
綾部は今から全て話すつもりなのだ。
「綾部さん、何の話をしているの？」
「Aさん。あなたが言っていたお守り袋の話、僕思い出しましたよ。竹谷先輩があなたにお守り袋を渡していたと、立花先輩から聞いていました」
言ってしまった。ああ、もう終わりだ。
「え…誰？」
「お守り袋の中身を見れば、きっと思い出せます」
僕は背中を壁に預け、ずるずると座り込んだ。
僕の十数年の努力が、たった今水泡に帰した。
「どうしたの伊作君…」
「綾部の言う通りだよ。お守り袋を取りに行きなよ。君の知りたかったことが、その中にある」
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玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
