知らぬ過去の段（八左ヱ門視点） ページ14
ゴミ箱から拾い出したお守り袋を握り締め、あの子の後を追う。図書館は私語厳禁だから外に出てくれれば普通に話せるかと思ったが、館内のトイレに逃げ込まれてしまった。
「何なんだよ、一体…」
初対面のあの日、口ぶりから俺と会いたがっていて、それが叶ったように見えた。
生物が恋人みたいなものだった俺にとって、特定の女子と特別な関係になった事はない。ましてあんな可愛い子と接点があるなら俺が忘れる筈がない。だからドッキリでも仕掛けられたんじゃないかとか、俺の名を騙ってロマンス詐欺的な悪さをしている輩がいるのかとか、色々考えた。
さっき再会した彼女は明らかに俺に怒っているようだった。だとするとドッキリの線はない。となると俺が「悪戯はやめろ」という発言は見当違いで、彼女も被害者の可能性がある。俺はただ、どうして怒っているのか知りたい。そして何かに巻き込まれているならきちんと誤解を解いて解決したい。
「ここ、いいか？」
トイレに逃げ込まれた日の3日後、学食で二人掛けのカフェテーブルで一人で食事する彼女を見つけて声を掛けた。
「……何なんですか。まだ私に用事があるんですか」
「まずは、これ」
お守り袋を差し出す。
「君、明らかに俺に怒っているよな？俺が触ったから捨てようとしたのか？」
「役目を終えたからです。別になあなたが触ったからではありません」
「役目って？」
「……。あなた、このお守り袋に触って何ともありませんか。感情の変化とか」
「え……無いと思うけど……」
「中は見ましたか」
「他人のお守りだから開けてないよ！」
「動物や虫は好きですか」
「！！ 好き！！もしかして君も！？」
「これは何だか分かりますか」
俺の問いには答えてくれないが、今日は図書館に居た時よりもたくさん話してくれるし、質問してくれる。それが純粋に嬉しくて気にならない。
彼女は動物の歯を俺に渡す。
「…イヌかなんかの裂肉歯？」
「ニホンオオカミです」
「ニホンオオカミだって！？あれは明治時代に絶滅しただろう！？どうしてそんな貴重なものを…」
「あなたに頂いたオカ美の歯です。お返しします」
「オカミ…？」
元々俺のものだったのか？ニホンオオカミの裂肉歯なんて、初めて見たと思うんだが……。しかし、この子が嘘をついているようには見えない。
この子は俺すらも知らない竹谷八左ヱ門を知っている…？
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玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
