其の弐 ページ13
「幽霊と思っている人も居るからやめろって言ったのはあなたの方では？」
「ああ…いや…返す言葉も無いよ。実はこれを渡したくて。この前走ってった時に落としただろ？声を掛ける前に手に持ってたから大事な物かと思って」
あのお守り袋だ。これを手にしていても私の事を思い出さないんだ。
私が手渡しで受け取らないので、八左ヱ門はデスクに置いた。
何だか無性に腹が立ってきた。
かつて八左ヱ門は「俺を覚えていて」という趣旨の言葉と共にこれを渡してきた。なのに渡した側が全く覚えていないこと。そして私が八左ヱ門への想いを忘れようと必死になっているのに再び目の前に現れたこと。せっかくお気に入りの場所を見つけたのに勉強できなかったことも。
ダントツで腹立つのは【八左ヱ門に思いを馳せる行動を八左ヱ門自身に悪戯と呼ばれたこと】だけどね。
今世の彼は室町の頃とは比較にならないほど背が高かった。恐らく180cm前後。髪は相変わらずボサボサで前髪の一部がペロッと上を向いているが、無造作ヘアと呼べなくもないかもしれない。服装はシンプルな無地のTシャツにカジュアルなクロップドパンツを履いている。私にメンズファッションは分からないけど、たぶんオシャレな部類だ。
という事で、どうせモテて恋人も居るんでしょうよ。もう全部全部腹立つ。
「わざわざありがとうございます」
さっき置いたばかりのカバンを持って席を立ち、お守り袋を引っ掴むと彼の見ている前で手近なゴミ箱に捨てた。
「は…！？」
そして図書館の出口に向かって早足で歩き出す。
「ちょっ、待てって！」
慌てて追ってきているようだったけれど、角を曲がってすぐの女子トイレに入って撒いた。
せっかく
「…でも、目の前で捨てる必要あったかな…」
家に帰ってからふと考えた。
落とし物を届けるという厚意を無下にしたのは人としてやり過ぎたと反省した。
あの時は自分の心を守る為に、振られたのではなくこちらから拒絶したという形に持っていきたかったのだと思う。
せっかく届け物をしたのに目の前で捨てられたら彼も腹立っただろうな。これでもう彼との縁も切れただろう。
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玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
